あぁ…そっか………思い出した……。
私が…沙月と一緒にいた"主犯"だったんだ…。
あの女を追い込み落としたのも。
すました顔したあの神童を追い詰めたのも。
全部。
私と沙月だ。
そう思った瞬間、私は守られていた何かが壊れたように笑いが零れた。
私の歪んだ性格にも冷静に琉希は対応する。
先にあのことでも聞こうか…
私がそう言うと、琉希は立ち上がり柵の前に置かれた私のローファーの上にある紙を手袋をした手で取って内容を見せてくれた。
「私が碧座小学校に在籍してた頃、同級生の峰本沙月と共にいじめを起こしました。そしてつい先日、沙月が誰かに殺害されたと聞き、そのこと関係だと次は私が殺されると思いまして、誰かに殺られる前に死のうと言うことで今回は自殺する道を選びました。今まで育ててくださった両親には大変迷惑をかけると思いますがどうかお許しください。それではさようなら。 三室弥生(元三室姫華)」
私を馬鹿にしたように笑うと、琉希は少し咳き込みながら喉に手を当てた。
段々と琉希の声が高くなっていく。
そして、不気味な笑みを浮かべるとそのまま頭に手を伸ばした。
頭から黒いショートヘアが現れる。
そこにいたのは琉希じゃない……柚稀だった。
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。