第134話

最後の標的
1,937
2020/09/24 16:21
あぁ…そっか………思い出した……。




















私が…沙月と一緒にいた"主犯"だったんだ…。
あの女を追い込み落としたのも。
すました顔したあの神童を追い詰めたのも。
全部。
私と沙月だ。
そう思った瞬間、私は守られていた何かが壊れたように笑いが零れた。
三室 弥生
ふっ、あははははっ!
八代 琉希
……。
三室 弥生
何?その目?そんなに変?ただ昔の私を思い出しただけだけど?
八代 琉希
何も言ってねぇよ。
三室 弥生
あっそ。小学校のときに落としたあの女の復讐でもするつもり?
八代 琉希
さぁ?どうだか。
三室 弥生
やっても警察に見つかるよ。
八代 琉希
見つからないさ。
私の歪んだ性格にも冷静に琉希は対応する。


先にあのことでも聞こうか…
三室 弥生
ねぇ、アンタが黒崎錬で合ってんの?
八代 琉希
ああ、黒崎錬は俺だ。
三室 弥生
やっぱり…
八代 琉希
もう質問はいいか?
三室 弥生
私はどうなる?
八代 琉希
そこから飛び降りて死ぬ。もちろん、事前にこっちが用意してある遺書はあるから警察は自殺と思うだろう。
三室 弥生
内容は?
私がそう言うと、琉希は立ち上がり柵の前に置かれた私のローファーの上にある紙を手袋をした手で取って内容を見せてくれた。
「私が碧座小学校に在籍してた頃、同級生の峰本沙月と共にいじめを起こしました。そしてつい先日、沙月が誰かに殺害されたと聞き、そのこと関係だと次は私が殺されると思いまして、誰かに殺られる前に死のうと言うことで今回は自殺する道を選びました。今まで育ててくださった両親には大変迷惑をかけると思いますがどうかお許しください。それではさようなら。 三室弥生(元三室姫華)」
八代 琉希
完璧だろ。
三室 弥生
こりゃ、否定出来ないわ…
八代 琉希
はっ、俺は事実しか書いてないから。あとは何か死ぬ前にある?
三室 弥生
アンタに私が殺せるのかを聞きたいのが1つ。あと柚稀はどうしたのさ、確かアンタが駒にするって言ってたじゃん。
八代 琉希
俺はアンタを殺せる。そして…
私を馬鹿にしたように笑うと、琉希は少し咳き込みながら喉に手を当てた。
八代 琉希
ちゃんと駒に"なっている"よ。
段々と琉希の声が高くなっていく。
そして、不気味な笑みを浮かべるとそのまま頭に手を伸ばした。
三室 弥生
嘘……






















頭から黒いショートヘアが現れる。
そこにいたのは琉希じゃない……柚稀だった。
空閑 柚稀
ね、ちゃんと駒になってるでしょ?
三室 弥生
柚稀…
空閑 柚稀
最後の標的、弥生ちゃんは私にしたかったみたいだけど残念。最後の標的は君でした。

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