そんなことを突然琉希に聞かれたのは学校が終わり部活もないし帰ろうとしてた時だった。
私は殺人の詳しい日にちの探りを入れてみる。
すると、琉希は少し困ったように笑った。
半分苦笑いを浮かべて、琉希が頭をかく。
「じゃ!」と手を振ると荷物を取り、琉希は教室から走り出ていく。
私は荷物を手に持ったままボソリと呟いた。
琉希達は23日に誰かを…
こんな殺人日とかを知って、このまま黙っているわけにもいかない。
そう思った私は翌日の朝、沙羅に探りを入れるのも兼ねて、23日の話をしに行った。
はっ、何だこいつ。
私、結構ガチの話してるんだけど?
怖バナ?そんなことするの夏くらいでしょ。
何が倉科君とクリスマスデートだ、アンタは倉科君から1mmも愛されてないの早く自覚しろ。
頭の中で悪口のパレードが行進する。
そのパレードが外に出て行かないように私は必死に笑顔を作った。
頑張って笑顔を取り繕って言った発言に対したキッパリとした沙羅の口調に久しぶりに頭にくる。
私は俯き、何秒間かフリーズ。
そして、気が付くと沙羅のスマホが教室の床に打ち付けられていた。
いきなりの出来事にみんなの視線が私達に集まる。
沙羅がスマホを拾って、私を見上げる。
その目は完全に怒りに染まり睨んでいた。
そんな沙羅を私は冷たい目で見下ろす。
沙羅を見下ろしたままそう言うと、私は何かぐちゃぐちゃと小声で反論する沙羅を無視して、自分の席へと戻った。
座って、スマホを取り出したところで横目で様子を窺うとハッキリと私に文句を言われたのが気に食わないのか椅子に座り、俯いて爪を噛んでいる。
よしっ、クラスの女子が私に傾いた…!
女子というのは集団で行動したがる。
だから、1人がハブると言い出したら他の人も自然とハブるようになるものだ。
これで沙羅は5軍まで落ち…いや、でも男子が……
完全に沙羅はみんなから見捨てられた。
で、もう1人のトップである凌久は凌久で全く沙羅と話さないで2軍の男子とよく絡んでる。
徹は同じ小学校だったからか、倉科君達を心配しているから私のひと押しで沙羅と無縁に出来る。
そして、徹自身あまり目立ちたくないらしい。
と、なると?
やっと…やっと……私の勝ちだ!
何とか目標の2学期の間に見事にトップに君臨することが出来た!!
あとは私がボロを出さないようにするだけ…
なんて言ったって、前回はここで調子に乗り過ぎたせいで最後の最後に失敗したんだから……。
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!