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第16話

演劇
演劇が発表される間、周りの生徒はちゃんと聞いている人もいるが、コソコソと話し続ける人もいた。
新村 有咲
銀河鉄道の夜、どんな風に出来上がったんだろうね〜…
桐山 桃香
だね。
私達のクラス発表前の休憩時間。
有咲が私の方を向いて話しかけてくる。
新村 有咲
桃香はさ、柚稀ちゃんが劇とか出来ると思う?
桐山 桃香
う〜ん…出来るんじゃない?
新村 有咲
けど、綾ちゃんも強敵。
桐山 桃香
有咲は?
新村 有咲
綾ちゃん、かなぁ……。
ビッーーーー……
体育館に始まりの合図の機械音が鳴り響く。
[次は2年4組による『銀河鉄道の夜』です。]
司会の子が軽くあらすじを説明すると、開幕。
最初は舞台上に綾1人だけが立っていた。
鈴木 綾
「僕はいつも働いている。でも、お母さんのためだし…仕方ないよね…。」
スポットライトが綾を照らし、セリフを話す。
流石、演劇部。自然な感じに話している。
話が進み、ザネリが登場する番。
峰本 沙月
「あ、ジョバンニじゃん。お父さんがラッコの鞄でも持って帰ってくるのを待ってるのか〜?」
同じいじめっ子役と共にジョバンニを囲み、父親のラッコ密猟の噂でジョバンニをいじめる。
やっぱ、沙月にはザネリがお似合いかも…。
私は心の中でそんなことを呟いた。
やがて、ジョバンニが銀河鉄道に乗るシーン。


乗り込んだセットは椅子、窓枠、床にドライアイスの煙を流しているだけだった。
周りでは、やはり小さな話し声が続く。


「え、沙月ちゃんっていじめっ子役?」
「ちょっ、静かにしなよ。誰かに聞かれたら…」
「主役の綾ちゃんって演技が上手いよね〜」
その会話は一部、沙月への驚きが含まれていた。
鈴木 綾
「やあ、カムパネルラ。」
ジョバンニの親友のカムパネルラ、柚稀の登場だ。
ジョバンニに名前を呼ばれ、カムパネルラが舞台上に現れる。
空閑 柚稀
君も乗っていたんだね、ジョバンニ。
その声に体育館内の話し声が水を打ったように静かになる。
セリフとは思えないような自然さ。
表情も作るようなものではなく、ジョバンニに会えたことに嬉しそうな哀しそうなそんな顔。


いつもの眠そうな柚稀とは……全く違った。
鈴木 綾
え…
椅子に座る綾が声を漏らし、固まる。
劇の子に見せてもらった台本だと次はジョバンニが「そうだよ。他のみんなは?」のはず。


セリフが飛んだのか綾は固まったままだ。
すると…
空閑 柚稀
言葉を失う程、嬉しかったのかい?残念だけど、僕以外の人は乗り遅れちゃったようだよ。
クスッと笑い、綾を見つめる柚稀。
……アドリブだ。
空閑 柚稀
向かいに座っていいかな?
鈴木 綾
カ、カムパネルラと一緒に旅が出来るなんて嬉しいよ。そっか…あ、もちろんいいよ。
綾が慌てて対応し、柚稀は席に座り、劇は続行。
2人が演じている間、本当に銀河鉄道から見える銀河が頭に思い浮かんだ。
文化祭でこんな劇が出来るんだ…。
いつの間にか劇は最終幕に近付き、カムパネルラがジョバンニの前から姿を消す。
カムパネルラが死んで、銀河鉄道はあの世を走る鉄道だったことを知って、お父さんが帰ってくるからジョバンニが帰る。そんなところで劇は終わった。
拍手が体育館中に響いている。
さぁ、クラス部門は取れるのかな…?