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第117話

裏の顔
次の日、学校に行くと沙羅が1人で倉科君のところに話しかけに行っているという凄い不思議な光景を私は目の当たりにした。
三室 弥生
…沙羅、どうしちゃった?
篠田 徹
さぁ…俺も沙羅が拓哉のところに部活以外のことで話しかけに行くのは珍しいって思った。
三室 弥生
だよね…
不思議に思いながら立っていると、後ろから…
燎 颯斗
三室ちゃん?もうちょいズレて?
三室 弥生
あっ!ごめん!
教室の扉の前で私が邪魔で入れなかった燎君、楓、柚稀が中に入ると倉科君達を見て、不思議そうに首を傾げた。
燎 颯斗
へぇ、珍しいこともあるもんだね?
月城 楓
バスケ以外の話、見たことない。
三室 弥生
やっぱ2人も思う?
月城 楓
うん。
燎 颯斗
ほらほら、柚稀?いいのかな?
空閑 柚稀
は?
燎 颯斗
夕凪ちゃんに拓哉取られちゃうよ〜?
ニヤニヤと笑いながらからかう燎君に柚稀は分かりやすく大きな溜息をついた。
空閑 柚稀
何かさぁ、凄い勘違いをしてるみたいだけど、全然違うから。
燎 颯斗
本当に?
空閑 柚稀
本当に。
ムカついたような表情を浮かべて、柚稀はブレザーのポケットに片手を突っ込む。
その動作を見た瞬間「そっか、ごめんね。」と軽く燎君は謝った。
三室 弥生
…ねぇ、柚稀ちゃんと燎君?
燎 颯斗
ん?
三室 弥生
もし、倉科君が誰かと付き合うとしたら誰だと思う?
空閑 柚稀
さぁ…あのまま沙羅ちゃんとゴールするんじゃない?あの超有名人の妹で美人なら良いでしょ。
燎 颯斗
え〜、夕凪ちゃん?てか、それなら柚稀だって瑞稀さんと漣さんの ───
空閑 柚稀
アイツの名前を出さないで。
燎君の言葉に被せるようにそう放つと、柚稀は自分の席へと向かってしまった。
燎 颯斗
あそこまで怒る?
月城 楓
多分、また喧嘩でもしたんだろ。軽い口で人のことをホイホイ言うのは良くないと思うから気をつけるんだな。
楓も柚稀の方に行き、燎君だけが残る。
篠田 徹
…どんまい、颯斗。
燎 颯斗
みんな冷たいなぁ…
三室 弥生
でも、柚稀ちゃんが漣さんを嫌ってるのは知ってたから何にも言い返せないじゃん。
燎 颯斗
まぁ、そうなんだけどさ〜…いつも以上にトゲがあるっていうか、なんかに怒ってるっていうか…
不機嫌な柚稀の話を燎君、徹としていると、突然椅子を引く音が聞こえた。
三室 弥生
…沙羅?
音の原因は沙羅が座っていた椅子から勢いよく立ち上がった音のようだ。
そして、勢いよく立ったと思うと今度は勢いよく頭を倉科君に向かって下げた。
夕凪 沙羅
1年生の頃から好きでした。良かったら私と付き合ってください!
倉科 拓哉
え…
燎 颯斗
マジで!?
篠田 徹
沙羅のやつ何でみんなの前で堂々と…
朝は他の女子生徒も倉科君達を見に教室に訪れることが多かった。もちろん、教室内にもいる。
沙羅ならタイミングくらい考えられるはず…
となれば…思い上がってやらかした?
色々な考えが頭を巡る。
すると、困ったような表情をする倉科君の耳元に口を寄せた沙羅が何かを小声で話している。
その瞬間、倉科君が驚いた表情をした。
そして、俯くとボソリと…
倉科 拓哉
……分かった、付き合うよ。
夕凪 沙羅
やった!ありがとう!
三室 弥生
嘘…
燎 颯斗
拓哉、どうしちゃった…?
燎君が驚きの声をあげている。
正直、私自身も燎君と同じくらい驚いていた。
分かりやすく倉科君の腕に抱きつく沙羅。
そんな沙羅の視線の先にいたのは柚稀だった。
そして、沙羅は柚稀と目が合ったところでニヤリと笑ったのだ。
まさか…柚稀への見せしめ?
何でだろ?恨みを買うようなことしてたっけ…
夕凪 沙羅
ねぇねぇ、柚稀ちゃん!どうかな?私達、似合うと思う?
空閑 柚稀
……。
月城 楓
柚稀。夕凪はお前に話し掛けてるぞ。
空閑 柚稀
あ、そうなの?ごめん、何?
全く興味無さそうに楓と絵を描いている柚稀が鉛筆を持った状態で振り向きもせずに返事をする。
夕凪 沙羅
私達、似合うかなって?
空閑 柚稀
…似合うんじゃない?流石、朱璃さんの妹だけあってハイスペックだし、学校の人気者と十分釣り合うと思うよ。
淡々とした返事に少しだけ沙羅がムッとする。
夕凪 沙羅
悔しくないの?
空閑 柚稀
何が?
夕凪 沙羅
柚稀ちゃんって倉科君が好きじゃなかったの?
空閑 柚稀
…ほんとさぁ、何回も何回もいろんな人に聞かれるけど何でそうなるの…。
ご機嫌斜めの原因になった話を持ち出された柚稀がやっと呆れたような表情で沙羅の方を見た。
空閑 柚稀
まぁ、仮にそうだとしてもしなくても私は拓哉が誰と付き合おうが本人が幸せならそれだけでいいから。人の人生に口出しする気は無いから悔しいことなんて無いよ。
夕凪 沙羅
………ふ〜ん…。残念だったねぇ、倉科君は多分、柚稀ちゃんのことが好きだったのに。
空閑 柚稀
私を?キラキラしてる女子からかけ離れて、男っぽくて、馬鹿な私を好きになるわけないじゃん。
その言葉に何か言いたげな倉科君。


沙羅は勝ったつもりで笑い、柚稀は自虐的に笑う。
そんな中、柚稀の向かいに座っていた楓がこれ以上話を大きくさせないためか口出しをした。
月城 楓
柚稀、もうやめとけ。夕凪のやつ、今は不合格で機嫌が斜めなんだろ…
楓がそう口にした途端、沙羅の笑顔がほんの一瞬だけ引き攣ったのだった…