放課後、私はスグに紅音へメッセージを送った。
【紅音!学校来ないの?】
すると、スグに返事は来た。
【うん…、沙月ちゃん達が怖くて…】
【何かごめんね。】
【そっか…でも、もう大丈夫だよ!】
【え?】
【沙月はもう紅音をいじめたりしないから!】
【本当に?】
【本当に!もし、絡んできたら私が沙月にガツンと言ってあげる!】
【だから、明日から学校来ない?】
【桃香がそんなに言うなら…】
【お母さんと相談して、行けそうだったら行くね】
【うん!】
翌日、家を出ると門の前に紅音がいた。
門から出ると、私は紅音の手を引き歩き出した。
やがて学校に着くと、既に雪奈と綾がいたので、2人の方へと向かう。
2人にあまりいい印象が無いのか、紅音が困ったような表情をする。
その言葉に雪奈が紅音が不登校になる前のことを思い出したのか、少し眉を下げ…
突然の雪奈の謝りに紅音が戸惑う。
横目で紅音を見ると、まだ驚いた表情を浮かべていたが、やがて笑うと…
嬉しそうに笑う紅音を見て、私は安心する。
これなら、大丈夫そうかな。
紅音がそこまで言って口を閉じる。
きっと"いじめ"だと言いたいのだろう。
紅音は派手とは言えない。
どちらかと言うと、クラスに1人はいる平凡で普通な女子の部類に入る3軍。
一応、紅音は私のグループで動くけど、クラス全体で見ると、3軍かな…。
そんなことを思いながら、私は会話に混ざる。
紅音は少し困ったような表情をしていたが、4人の中では1番地位は低いから何も言えない。
歯向かわないのが一番だよ。
紅音のためにもね…。
1週間後。
謹慎処分が終わった沙月が学校に来たけど、誰も話しかけようとはせず、一人ぼっちになっていた…。
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。