Infinity劇団の劇を見た日の夜、そろそろ寝ようとしていたときに徹からメッセージが届いた。
【まだ起きてる?】
【起きてるよ〜!】
【明日、暇かな?凌久達が学校のメンバーで遊園地に行かないなって言ってるんだけど…】
【遊園地!?行く行く!!】
【おっ、良かった】
【じゃあ、8時半に駅集合で】
【了解で〜す】
【それじゃ、遅くにごめんね。おやすみ】
【おやすみー!】
私、沙羅、千棘、凌久、琉希、徹。
このメンバーで遊園地に行くのかぁ…何か不思議。
そんなことを思い、私は眠りにつく。
次の日の朝、駅に行くと千棘と凌久が既にいた。
一人っ子の私から見れば、凌久も沙羅も柚稀もみんなが羨ましい。
だから、そんなに我儘が言えるわけ…
一人っ子なら親は可愛がって何でもしてあげそうだし、それが社長の娘なら尚更ねぇ。
兄弟関係はそんなところか…。
凌久の妹は凌久が暴力団総長だっていうこと知ってるのかな…
8時半を10分くらい過ぎたところで3人が到着して、私達は遊園地へと向かう。
日曜日というだけあって、家族連れが多い。
集団で移動していると、顔面偏差値が高い千棘とイカつい空気を流す凌久のことをすれ違う人みんながチラ見していた。
これ、凄い目立ちそうなんだけど〜…
この二人プライベートでも存在感の強さが…
目立ったもののいろんな乗り物に乗れて、楽しい時間を過ごしていく。
帰る前の夜に観覧車に乗ったときだった。
観覧車さ1つの箱の定員は4人。
だから、カップルの千棘と凌久で1つ。
その他の私達で1つを使って、乗っていた。
そんな中、いきなり沙羅がそう切り出したのだ。
1日中歩き回って疲れたのかウトウトしていた徹を隣に座る琉希が揺らす。
徹が寝惚けてたのかそう薄く瞼を開けたまま呟くとそのまま再び寝てしまった。
いきなり言ったもので私は頭を後ろに当てて、大声を出す。
琉希は本っ当に驚いた顔で固まっていた。
それは良くないよ!?
そんなことされたら多分、私の身がもたないし、普通に恥ずかしいから…
心の中で叫んだところで届かないけど…
私はそう諦め話を逸らす。
そして、終わりに近付き琉希が徹を叩き起して、私達は観覧車から降りて遊園地を後にした。
琉希が徹に問い詰め始め、私はそこから逃げるようにその場から去る。
歩き始めて少し経ったとき、後ろから足音が聞こえて、振り返ると徹がいた。
そう言って、歩き出したが…
見慣れた人が私達の目の前を横切りいなくなったのを見て、私は足を止めた…。
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。