燎君がスマホを取り出すと、2人のどちらかに電話をかけてスピーカーにした。
電話の奥で楓が柚稀に体育祭の説明をしている。
すると、燎君の近くで会話を聞いていた倉科先生がスマホを手にした。
電話を切り、何事も無かったように体育祭の話を始めた先生。それを沙羅が止めた。
倉科先生はよく周りを見ている。
このクラスの担任になってから1ヶ月も経っていないのにそれぞれの性格を完全に把握していた。
確かに柚稀と楓は言われたら拗ねそう…。
悪いのは多分、倉科君と燎君なんだろうし…
学級委員である潤と倉科君が前に立ち、二人で紙に書かれている競技名を黒板に手早く写す。
主に潤が進行役になり、みんなの希望を聞いていき倉科君は黒板に書いていく側になった。
潤の司会は本当に進めやすい。
議題で意見が出たら、その良いところと悪いところを両方上げていつも他の意見も聞く。
いつも大人しめな潤だが、クラスからの支持率は圧倒的だった。
何故こんな支持率を持つ潤が3軍なのか。
疑問でしかない。
潤の進行でどんどん競技が決まっていく。
沙羅は短距離の80m、徹と凌久は200m、体力型の燎君は1500mを選択。
表がだいぶ埋まってきたところで潤があることに気が付く。
教壇の端で黒板を見ていた井上先生が口を挟む。
沙羅に理由を聞かれ、先生は3本指を立てた。
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。