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第108話

王様
柚稀と楓がいなくなった今、教室は凌久によって支配されていた。
日直は他に押し付け、昼休みになった瞬間他の人に購買に行くように押し付け、掃除も人に押し付け…
篠田 徹
…最近、王様気分になってね?
榎本 凌久
あ?そうか?
授業の間の休み時間に徹が私や恐らく沙羅も思っていることを口にした。
篠田 徹
何か人に押し付けて自分は何もやらないってことが多い気がする。
榎本 凌久
まっ、いいじゃん。周りのやつがやってくれてるんだし。
篠田 徹
ああ…。
これ以上言えば、凌久が不機嫌になると悟った徹は腑に落ちない声で呟き黙った。
夕凪 沙羅
まぁ、やり過ぎには気をつけた方がいいと思う。先生にバレたらダルい。
三室 弥生
そうだよ。怒られる。
榎本 凌久
分かってる。
いや、絶対に分かってない。
目が笑ってるし、まだ何かやるつもりだ。
昼休み、凌久の支配に置かれたくないのかみんなが他の場所で食べようと教室から出て行く。
パシリの子が凌久に購買の弁当を渡して、去る。
教室には1軍と一部の2軍しかいなかった。
夕凪 沙羅
人、少なっ。
三室 弥生
だね〜…
そりゃ、凌久にパシられるもん。
榎本 凌久
まぁ、人が少ない方が俺的には好都合だからいい。
そう笑う凌久が見ていたのは、倉科君とパンを食べていた燎君。
視線を感じたのかこっちを見た燎君は笑っている凌久を見ると、凄い嫌悪感丸出しの表情でそっぽを向いた。
榎本 凌久
おい、燎ー。そんなそっぽ向くなよ。
燎 颯斗
……。
無視を決め込んだ燎君に腹が立ったのか、凌久が席を離れ燎君の方へ。
榎本 凌久
無視してんの?
燎 颯斗
………別に…。
榎本 凌久
チッ……お前ってホント昔からずっとうぜぇままだよな。暴力反対いじめ反対の絶対的な正義感、親は棚に持ち上げるってか?
燎 颯斗
親父のことなんか知らねぇよ!!
榎本 凌久
…マジ、ストレス。
燎 颯斗
い"っ…!?
それは一瞬のことだった。
凌久が呟くと同時に燎君の手を掴むと人差し指を思いっきり真逆の方向に動かしたのだ。
夕凪 沙羅
ちょっ、やり過ぎでしょ!?
榎本 凌久
コイツにはこんくらいでいいんだよ。
夕凪 沙羅
だと、してもさ…!
榎本 凌久
文句あんの?
止めに入った沙羅は凌久の威圧する声にビビって黙り込んでしまった。


倉科君は助けたそうだけど、怖くて足が動かないのか悔しそうな顔をしている。
燎 颯斗
マジ、かよ…っ…
痛みに耐えて折れた人差し指をもう片方の手で掴んでいる燎君は、警戒するように凌久を睨む。
榎本 凌久
月城が誘拐されて残念だなぁ?
燎 颯斗
……誘拐?
榎本 凌久
あっ、口が滑った。
燎 颯斗
お前のせいだったんだな…。なら、楓の居場所教えろ。
空閑 柚稀
私も知りた〜い。楓の居場所とー…颯斗の指が折れてる理由。
燎 颯斗
え?
窓枠に座っていたのはジーパン、七分丈のパーカーに黒い帽子を被る柚稀。
出ている肌の部分には包帯が巻かれ、顔には湿布や絆創膏が貼られ、ボロボロだった。
倉科 拓哉
ゆ、柚稀。どうしたんだ…?
空閑 柚稀
楓探してたら、榎本の下っ端達に絡まれてさー、もしやと思って喧嘩になって全員ボコして聞いたら、総長と最高幹部しか居場所は知らないって言われたから聞きに来た。
榎本 凌久
ったく…使えねぇ、奴らだ。
空閑 柚稀
で、楓は何処。
榎本 凌久
教えるわけないだろーが。
空閑 柚稀
う〜ん…じゃ、選択肢上げる。1、ボッコボコにされて吐く。2、大人しく言う。
榎本 凌久
いや、3だな。空閑は返り討ちで病院送りが1番いい。
空閑 柚稀
千代瀬、平薙、津埜…
柚稀が突然凌久をじっと見ながら、この近くの地名を順番に言っていく。
途中で言うのをやめたと思うと、今度は一丁目、二丁目…と詳しい名前を言い始めた。
やがて、ニヤリと笑い…
空閑 柚稀
…ありがとう、諷村四丁目だね。
榎本 凌久
は?
空閑 柚稀
もう用事ないからいいや、じゃ。
そう言うと、柚稀はそのまま後ろに倒れて消えた。
三室 弥生
嘘!?
驚いて思わず、窓際まで行って下を見る。
そこにはもう柚稀の姿は無かった。
三室 弥生
この高さから…
倉科 拓哉
颯斗…保健室行った方がいいだろ。
燎 颯斗
そうするよ…。