今は休み時間、大体の人が外に遊びに行く中、友達なんかいない俺は机で学校の宿題を終わらしている最中だった。
そんなとき、大体るーが邪魔しに来る。
答えの返事にるーは曖昧な表情。
表情から見るに本当に俺のことを心配してる。
どうせ、俺が我慢すればいいだけだから…
るーはそう言って、明るい笑顔で笑った。
開けっ放しにされた背後の窓から風が吹き込み、彼女の綺麗な黒い髪が揺れる。
こう見たら意外と可愛い気もするけどな…。
拗ねたるーが俺を見る。
なんだかんだでいつもるーがいて、いじめられているはずの俺は独りぼっちじゃない気がする。
このとき、どうして気付けなかったんだろう。
どうして、教室に不自然な程に他の人がいなかったことに俺は気付けなかったんだろう。
俺が気付いていれば。
気付いてさえいれば。
今が変わっていたのかもしれない。
そんなことを俺は何も無い窓に向かって伸ばしていた自分の手を見ながら思っていた。
小さく消え入りそうな微かな俺の声。
窓から下を覗くと、君がアスファルトの上で周囲を真っ赤に染めて寝ている。
モブ共がるーの飛び降りに騒ぐ。
カスが黙れよ。
煽って本当に飛び降りてから冗談?笑わせる。
カス共が焦り始める中、中心のヤツらは堂々として何も悪くないと言った。
「強者は弱者を守る、当たり前だろ?」
ギシ…ギシッ…!
るーのあの言葉を思い出した瞬間、俺の頭が両側から強い力を入れられ潰される感覚に陥る。
痛みから目に涙が滲んでくる。
意識が飛びそうになる。
それでも、俺は必死に意識にしがみついた。
絶対に許さない…!!
全員…いや、峰本沙月…✕✕✕✕…お前らは俺が例え死んでも絶対に呪い殺して、や…る……
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。