第22話

告白
229
2018/06/20 04:44
槊に告白されて、だいぶ経った今、ようやく自分の気持ちに気がついた。私は、槊のことが好き。意地悪で、厳しくて、ぶっきらぼうだけど、時には優しくて、頼りになる。そんな槊が好きなんだ。そして、私は決意した。今日、槊に告白する。いつまでも、自分のネガティブ思考に負けているようじゃ、何も始まらない。

朝、いつもより早く起きた。今日は、休日だけど、グランプリがあるので、制服を着た。応援に来てくれるのは、家族と、遥香と麗ちゃん、そして、槊だ。
遥香
菜柚、頑張れ
頑張ってね!
菜柚
二人ともありがとう!
菜柚
菜柚
槊!
本当に来てくれた。それだけで嬉しかった。
絶対賞取れよ
菜柚
もちろん!
もうすぐ始まる時間なので、私は参加者の席の方へ向かい、みんなは観覧席の方へと向かった。

会場には、約20名ほどの漫画家さんと、80人ほどの参加者と、200人ほどの応援者が集まっていた。審査員の漫画家さんは、落ち着いた表情で、今緊張がピークの参加者達と向かい合っている。
いよいよ審査が始まる。
司会
それでは、いよいよ始まりました。今回の春のグランプリは、前回の予選でみごとな成績を修めた参加者80名が出場するという形式です。ただ今の予選1位は、田代さん、2位は早瀬さん、3位は渡部さんです。
私は予選2位だ。前回の予選では、金賞がいなくて、銀賞が1位だった。
遥香
菜柚2位ってすごいじゃん!
でもまだ分からないね
司会
予選は、編集部が採点をしましたが、本選は、漫画家の方の採点となります。
つまり、先輩から見た順位になるということだ。私は、やれるだけのことはやった。1位になる自信というのはあまりないけど、それなりの賞は取りたい。
司会
それでは、まず・・・
今から順番に漫画家さんが採点をしていく。私は5番目だ。
司会
続いて、5番、予選2位の早瀬さんの作品の採点に移ります。
いよいよ私の漫画の採点だ。漫画家さん達は、どのように見てくれているかな。


2時間ほど経って、すべての参加者の漫画の採点が終了した。
司会
賞は、入賞が2名、佳作が2名、銅賞が1名、銀賞が1名、金賞が1名、優秀作品賞が1名となります。
合計80人中8人が選ばれることになる。
司会
それではまず、入賞作品を発表します。
予選2位だったからには、ここより上は取りたい。
司会
渡部さん、日沖さんです。
なんと、ここで予選3位の人が出てしまった。
司会
続いて、佳作は、河村さん、四野宮さんです。
司会
続いて、銅賞は・・・
いよいよここからだ。出来れば、銀賞より上を取りたい。
司会
杉谷さんです。
続いて、銀賞は、田代さんです。
ここで、予選1位の人も出てしまった。
私はまだ言われていない。
司会
続いて、金賞は、山岡さんです。
最後に、優秀作品賞を発表します。
もう私は絶望した。呼ばれない確信がした。
司会
優秀作品賞は・・・
司会
早瀬さんです!
菜柚
え・・・
信じられなかった。まさか、優勝出来るとは思っていなかった。
司会
早瀬さん、おめでとうございます!
司会者さんからトロフィーを受け取った。

遥香
菜柚、おめでとう!
めちゃくちゃ上手だった!
観覧席に向かうと、遥香達が来てくれた。
さすが菜柚ちゃんだね!
柚登
姉ちゃんにしてはやるな
菜柚
上から目線!
ははは
本当にすごかった
菜柚
ありがとう
遥香
これで、全国大会進出?
菜柚
うん、半年後だけどね
頑張ってね!
菜柚
ありがとう!まだまだだけど!
柚登
姉ちゃんならまたトロフィー持って帰って来るだろ
菜柚
プレッシャーかけないでよ!
お前なら出来るよ
菜柚
YDKですから!
遥香
自分で言うなよ
菜柚
はいはい(笑)
てかさ、柚登くん?だっけ!めちゃくちゃ可愛いね!
柚登
それほどでも
菜柚
うわ、照れてやがる
遥香
私も初めて見たけど、かなりイケメンだねぇ
柚登
姉ちゃんと違ってな
菜柚
どういう意味だよ!まず私イケメンって言われて嬉しいわけないじゃん!
ははは
麗ちゃんも何か言ってやってよ!
??
あの・・・
菜柚
?はい
冬田ねね
突然ごめんね。私、「リボン」の漫画家の冬田ねねっていうんだけど、早瀬菜柚ちゃんだよね?
冬田ねね先生は、私が大好きな漫画「つばさのホタル」を描いていた先生だ。
(「冬田ねね」は、春田なな先生のパクリみたいな感じで、「つばさのホタル」ではなく、「つばさとホタル」です。勝手に引用してすみません。作者)
菜柚
冬田ねね先生ですか⁉
冬田ねね
うん、優勝おめでとう。あの漫画なんだけど、次に発売される「リボン」に載せることになったから、その報告に来ました。
菜柚
本当ですか⁉ありがとうございます!
冬田ねね
うん。今日は本当におめでとう。また会えるといいね。
そう言って、冬田ねね先生は歩いて行った。
遥香
菜柚おめでとう!
私絶対「リボン」買う!
菜柚
ありがとう!
そして、二人と別れた後、槊と二人で帰った。柚登はこの後デートで、両親は、先に帰ったのだ。
お前本当に上手いんだな
菜柚
まさか、優勝しちゃうとは思ってなかったけどね
誰でも思わねーよ
菜柚
ははは
今って、告白のチャンスなのかな。
菜柚
あ、あの、槊!
ん?
菜柚
あの、この前の、告白の返事なんだけど!
・・・・ああ
槊の表情が少し曇った気がした。言わないと。
菜柚
わ、私、槊のことが好き!
そう言った瞬間、槊が目を大きく見開いた。
でもお前、俺のこと男として見てないって・・・
菜柚
うん、でも、槊に告白されてから、意識するようになって、槊が楓ちゃんとデートしてた時に、自分の気持ちに気がついたの!
・・・遅い
菜柚
え・・・
もう遅かった?槊は、もう他の子のこと好きになっちゃった?
俺がどれだけ待ってたと思ってんだよ。10年くらい片想いしてたのに・・・
そんなに長い間、私のこと・・・
・・・でも許す。俺の好きな人だから。
それって・・・
正式に言う。俺と付き合ってください。
菜柚
・・・はい!
そう言ったら、涙が溢れてきた。嬉しい。頑張って良かった。
・・・泣くなよ
槊はそう言って、私の頭を優しく撫でてくれた。今日は、生きてきた中で一番幸せな日になったかもしれない。

          《終》
作者
どうも、作者です!一応終わりましたが、続編を書こうと思います!ここまで読んでくださった方は、是非続編も読んでみてください!ありがとうございました!

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