第16話

朝練
213
2018/06/12 14:06
昨日、本当は槊のことを好きなんじゃないか、と思ってしまったせいで、全然眠れなかった。しかも、こんな時に限って朝練まである。
菜柚
はぁ・・・
全然休めていない、重い体を起こし、一階へと向かった。
お母さん
今日朝練?
菜柚
うん。柚登は?
お母さん
もう家出てったわよ。自主練するんだって。
菜柚
へぇ、あいつのくせに真面目
お母さん
怒られるわよ


朝食を食べて、家を出た。これでも朝早いのに、柚登はもっと早い。
 私の学校の美術部は、文化部にしては珍しく、朝練がある。(まあ、締め切り間近で終わっていない人のみだけど)

ガラッ。
学校に着き、美術室の戸を開けた。
菜柚
おはようございま~す
部活の子
先輩おはようございます!
菜柚
おはよー
菜柚先輩、おはようございます!
菜柚
おはよー、あれ、珍しいねぇ
楓ちゃんは、いつもなら朝練に来るほど残っていなかった。
ちょっとスランプ中でして・・・
菜柚
そっかー、頑張ってね~
ありがとうございます!
後輩を励ますのも、先輩の役目だ。私はいつも、スランプ中の後輩を励ましてきた。
部活の子
菜柚ちゃんもヤバいの?
菜柚
うん、結構ヤバい(笑)
部活の子
だよねぇ、私も結構ヤバいわ
菜柚
お互い頑張ろう!
部活の子
だね!
実は、3年生が二人しかいないため、私は副部長だった。
よし。今から頑張って終わらせよう!そうしたら、至福のディナーが待っている。

全員が黙々と作業を行っている。私は漫画の原稿だけど、みんなは水彩画だったり、デッサンだったり、グラデーションだったりをしていて、やっていることは、人それぞれだ。
部活の子
・・・出来た~!
私と同じ3年生の部員の子の作品が、完成したようだ。
菜柚
見せて~
部活の子
ほい!
見せられたスケッチブックには、川の背景の水彩画が描かれていた。
菜柚
めちゃくちゃ上手いじゃん!
さすが先輩ですね~!
部活の子
ふふふ、ありがとう
ガラッ。
顧問の先生が美術室に入って来た。
先生
みんな進んでる?
菜柚
ぼちぼちです
部活の子
終わりました~
もう少しです!
菜柚
私が一番遅くない⁉
部活の子
まあ菜柚ちゃんが一番多いからねぇ
先生
まあその分貰える賞は大きいけどね
銅賞って凄いですよね!私感動しました!
菜柚
へへ、ありがとう
褒めて貰ったからには頑張らないと!
・・・・・
再び沈黙が訪れた。
出来ました!
菜柚
出来た!
ほぼ同時に言ってしまった。二人で顔を見合わせて、笑った。
先生
二人とも見せて~!
菜柚
あ、はい!
とりあえず、終わって良かった~!
部活の子
え、ヤバい!二人とも凄すぎる!
本当ですか⁉ありがとうございます!
部活の子
うんうん。この部分の移り変わりとか本当最高!
先生
早瀬さんは、やっぱりストーリー性があって、読んでて楽しいんだよね!
菜柚
ありがとうございます!
やっぱり、褒めてくれたり、楽しんで読んでくれる人がいるから、頑張れる。そして、達成感を感じる。これは最高だ。

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