第41話

転校生
98
2018/07/20 02:53
普通の日々がどれだけ平和なのかが改めて知らされる。

そう、今日はとんでもない日。
菜柚
遥香様~おはよう~
遥香
『様』つけんじゃねぇ
遥香ちゃん…(笑)
前川
松尾お前な、俺より男っぽくなるなよ…
遥香
さあね
まあまあ二人とも!今日、転校生が来るって知ってる?
菜柚
あー!このクラスだよね!
遥香
私男には興味ないから
前川
俺にも興味ないのか⁉
遥香
「浮気しない」って意味だよ
前川
松尾…
はいはいそこまでにしてね~!でさ、イケメンらしいよ!
遥香
麗ちゃん、彼氏にすれば?
菜柚
簡単には出来ないでしょ(笑)
そうそう(笑)
菜柚、お前はイケメンには興味ないだろ
菜柚
えー…
遥香
大丈夫、菜柚は神尾くんしか見えてないから、どんなイケメンだろうが、眼中に入らないよ
前川
お前…他人のことではそれだけ恥ずかしいこと言えるのに、俺には全然言ってくれないな
だからストップ!
その時、チャイムが鳴った。
先生
みなさんおはようございます。今日は、このクラスに入る、転校生を紹介します。
クラスがざわつく。
教室に入って来た男子を見た瞬間、女子が悲鳴を上げた。
日下部
日下部律です。大阪から引っ越して来ました。よろしく。
あー…ちょっとタイプ
麗ちゃんが目をハートにして、日下部くんを見つめている。

大阪出身…?
『大阪』という単語に微かな引っかかりを感じた。
日下部くん!関西なんだよね?なんかすごいね!
麗ちゃんが早速接近している。多分、目の保養って感じかな。




日下部くんは、本当に整った顔立ちで、かっこいいというより、可愛いという印象がある。
日下部
どこがすごいねん
クラスの女子
関西弁可愛い~!
私は、日下部くんと日下部くんに夢中になっている女子達を遠い目で見ながら、あることを感じていた。


どこかで見たことある気がする…。


そう思っていると、日下部くんと目が合った。
日下部
…遥香ちゃん?
遥香
え?
日下部
やっぱり遥香ちゃんだ!前に、大阪の花火大会に来てたでしょ?
遥香
あぁ、うん。2年前に。
日下部
あの時、遥香ちゃんの履いてた下駄が切れちゃって、こけた所を俺が助けたでしょ?
遥香
…そういえば確かに
どこかで見たことあると思っていたけど、やっぱり会ったことあったんだ。
日下部
あの時はショートカットだったけど、今はだいぶ髪伸びたんだね
遥香
あーうん…てかさ、私と話してて大丈夫?
私は、さっきからずっと気になっていた、まわりの女子の羨ましさと悲しさと憎しみの混じった視線を指した。
日下部
あ、そうだね。ごめん、確認したかっただけだから。
そう言って、日下部くんは女子達の方へ戻って行った。





優しそうな人だな…。





そう感じた。

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