普通の日々がどれだけ平和なのかが改めて知らされる。
そう、今日はとんでもない日。
その時、チャイムが鳴った。
クラスがざわつく。
教室に入って来た男子を見た瞬間、女子が悲鳴を上げた。
麗ちゃんが目をハートにして、日下部くんを見つめている。
大阪出身…?
『大阪』という単語に微かな引っかかりを感じた。
麗ちゃんが早速接近している。多分、目の保養って感じかな。
日下部くんは、本当に整った顔立ちで、かっこいいというより、可愛いという印象がある。
私は、日下部くんと日下部くんに夢中になっている女子達を遠い目で見ながら、あることを感じていた。
どこかで見たことある気がする…。
そう思っていると、日下部くんと目が合った。
どこかで見たことあると思っていたけど、やっぱり会ったことあったんだ。
私は、さっきからずっと気になっていた、まわりの女子の羨ましさと悲しさと憎しみの混じった視線を指した。
そう言って、日下部くんは女子達の方へ戻って行った。
優しそうな人だな…。
そう感じた。
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。