第62話

お出かけ ~シゲ編~ 1
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2021/06/13 15:05
~あなた‘s side~



シゲちゃんのお願いは



《あなたのお弁当持って、のんびり過ごしたい》
ってことだった。



私、料理上手くないよって言ったのに

《ええの、ええの、あなたが作ってくれるだけで価値あんねん》




って、押しきられて、ただいまキッチンで格闘中
お弁当って、何作ればいいんだろ。



とりあえず、おにぎりと卵焼きに唐揚げと…

思いつくおかずを作って、何とか詰めた時、シゲちゃんが迎えに来た音が聞こえた。

あなた
どこ行くの?
シゲ
何も決めてないねん
あなた
そうなの?
シゲ
あなたと一緒に過ごせる思ったら、それだけで嬉しくなってん。
シゲ
だから、全然ノープラン

え~って、思ったけど、シゲちゃんの笑顔見てたら、それもありかなと思えるから不思議


車を郊外の大きな公園で止める

シゲ
ここええ感じやん

平日だから、あまり人もいなくて、家族連れがちらほらいるくらい。

シゲ
行こうや
芝生の上にシートを広げて、座る。
シゲ
なぁ、弁当開けてええ?

待ちきれないって顔でお弁当を見てる。
あなた
いいよ、食べよっか。

目の前にお弁当を広げていく。
シゲ
めっちゃ旨そうやん
シゲちゃんの目が輝くのを見て、ちょっと安心した。
シゲ
ホンマに食べてええの?
あなた
うん、いいよ
シゲ
唐揚げ、うまい

お皿と箸を渡す前に、手で唐揚げをつまんでる
あなた
もう、行儀悪いよ
シゲ
我慢できへんかったわ
そんなに無邪気な顔で言われると、怒る気すらなくなってしまう。

シゲ
卵焼きも上手いし、最高やん

喜んでもらえて、ほっとする。



朝からの格闘が無駄にならなくて良かった。
シゲ
うっ…。

急いで口に詰め込み過ぎて、むせ込んでるシゲちゃんに、慌ててお茶を渡す
シゲ
あ~っ、ヤバかった
あなた
もう、慌てなくても大丈夫だよ。

シゲちゃんと顔を見合わせて笑う。

陽だまりの下で楽しいなって心から思ってた。

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