第36話

鉢合わせ ~智洋‘s side ~ 2
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2021/06/04 03:38
俺らを見て、びっくりしとるのんちゃん。



手には何やらいっぱいの荷物。



あなたに会いたくて来たのに、俺らいてびっくりやったんろうな。




…ってか、のんちゃんってあなたん家来たことあんの?



あなたは何もそんなこと言っとらんかったけど。


智洋
のんちゃん、何持ってきたん?

のんちゃんの持ってきた袋の中には人気のお店のスムージーや、



有名店の焼き菓子、お洒落なお惣菜とかが入ってて、

あなたに食べさせたくて、色々考えてんだろうなぁ…って見ただけでわかる。


智洋
あなた、のんちゃんがスムージー買ってきてくれてん。飲まへん?

スムージーを持って、部屋の中にいるあなたに声をかける。


あなた
今ようやくのってきたから、無理~。


あなたが小さな声でそう呟いてんのが聞こえる。

ホンマにうちの姫さんは…。


智洋
朝も何も食べてへんやろ。少しはお腹に入れなあかんで。

ようやくあなたがしぶしぶ出てくる。
あなた
わかった、ちょっともらう。

俺にはそんな態度なのに、


あなた
のんちゃん、ありがとね。
なんて笑顔で言っとるから、ちょっと腹立つねん。



まぁ、俺には心許してくれてるって思いたいねんけどな。


神ちゃんって、そんなにあなたと親しかったっけ?

なんかのんちゃんの目が怖いんやけど。



…手がかかる妹の面倒みてるだけって、



おかんキャラ貫いてみるけど、めっちゃ機嫌悪そうやん。



濵ちゃんはあなたがカレーを食べるんを見届けたら、早々に帰ってった。



あの人もいそがしいのになぁ。



残ったカレーは1食分だけ残して、残りは冷凍して…



って、色々片付けてるうちに、あなたはまた部屋にこもってまうし。




のんちゃんが、ちょっと可哀相やん。


智洋
俺、そろそろ行くわ。

もうちょっといようかと思ってたやけど、先に帰って、少しくらい2人にさせてやろうかな。



帰り支度してたら、あなたが出てきたから、


智洋
あなた、俺仕事あるから、帰るわ~。

って、玄関から声をかけたら、あなたがこっちまでやってきた。

あなた
神ちゃん、いつもありがとうね。

のんちゃんに聞こえへんように、小さな声であなたが言う。


ここに来はじめた頃は、めっちゃ遠慮してたんやけど、



次第に慣れてきたんか、行く日の前には食べたいものをリクエストするくらいになってた。



…餌付け作戦、成功ってとこかな。


智洋
また、来るわ
あなた
うん、わかった。
智洋
じゃあな、ちゃんとご飯食べや。
あなた
うん、またね。


…またね



たった一言が何よりも嬉しい。



今度来る時は何作ったろう。




そんなことを考えながら、俺は仕事に向かった。


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