第20話

スタジオにて ~濵田編~
974
2021/05/28 15:04

新曲が出るから、今日はそのレッスンでみんな集まっとったら、



いつもは真っ先に騒いでるはずの望が隅で本を読んでたんや。





何かあったんか。

…あれっ、あの本



崇裕
のんちゃん、何読んでるの?
うん? あなたの新刊。
崇裕
えぇっ?

びっくりして、望が持ってた本を奪い取る。


崇裕
これ、まだ発売前のやん
崇裕
何で持ってるん?
あなたにもらった。
返せや、ええとこなんやから


望に本をひったくられる


崇裕
え、だから。何で望が持ってるか、聞いとるの。
だから、うるさいって。あっち行けや。

何で持ってるんやん。



俺の方がファンなのに。




…今電話しても大丈夫やろか?

あなた
あれっ、濵ちゃん、どうしたの?

電話したら、あなたはすぐに出てくれた。


崇裕
なぁ、何で望があなたちゃんの新刊持ってん?
あなた
昨日、のんちゃん差し入れ持ってきてくれたの。
あなた
その時に渡したの。

…あいつ、そんなことしたんや。


あなた
濵ちゃんの分もあるよ。


気を使ってくれてるんかな。


崇裕
やっ、俺はええよ。
あなた
そうなの?
崇裕
実はもうネットで予約してるねん。
あなた
ホントに?


あなたちゃんの声が嬉しそうに弾んでる。


崇裕
ホンマに
あなた
えっ、嬉しい。
崇裕
だからさ、買ったらサインしてくれる?
あなた
私が書いていいの?
崇裕
他に誰が書くんねん。
崇裕
買ったら持ってくからさ。
崇裕
俺、家宝にするねん。
あなた
大げさだよ。
崇裕
いや、俺にしてはそんくらいの価値あるんよ。


あなたちゃんが楽しそうに笑っているのが聞こえる。



それだけで幸せやな。




あなた
楽しみにしてるね。
崇裕
おぉっ、待っといて。
崇裕
休憩あけるし、そろそろきるな。
あなた
うん、頑張ってね。
崇裕
また電話してもええ?
あなた
いいよ、またね。



…何か元気出てきたな。



よし、頑張るか。

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