…何やってんのやろな、俺
住所は控えてたから、ちゃんとマンションまでは来れたんやけど
同じ建物がいくつもあって、どこかあなたちゃんとこか分からへんくなってしもうた
…そう言えば、前来た時もあなたちゃんに迎えに来てもらったんやったんだっけ
夜に知らんとこで待ってるんも寂しいなぁ
って思ってたら、向こうから手を振って歩いてくるあなたちゃんが見えた
暗い闇の中なのに、そこだけ明るく見えるんは
この子が好きだからなんや
って実感する
って駆け寄ろうとしたら
暗闇から照史が出てきてん
驚いとる俺を見て、うひゃひゃって笑っとる照史
そりゃ分かるけどな
あなたちゃんに会いたくて、急いで仕事終わらせて来たのになぁ
照史、邪魔やん
部屋に向かいながら、あなたちゃんが心配そうに聞いてくる
やっぱり優しいなぁ
ドラマが放送開始するまで、後1時間ちょっとやった
いや、気持ちは分かるねん
毎日忙しいから、あなたちゃんの声聞きたいんやろな
小さく呟いた言葉は夜の闇に消えて言った
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。