あなたが照史の手伝いしてるのが気になって
照史から離すために呼んでみたけど
ヤキモチ焼いてんのバレバレやん
照史がニヤニヤ笑ってんのが見える
でも、当のあなたは照史の作ってるご飯に興味津々で
結局照史の近くに行ってしまってるし
って、照史の作ってるご飯覗き込んでて
って照史が言ってんのが聞こえるんやけど
俺の手伝いで盛り付けしてたあなたの手はふさがっててるし
どうするんやろって思ってみてたら
一口大に丸めたおにぎりをあなたの口に直接入れてて
あなたも美味しそうにそれを食べとる
…ちょっと、何してるん
あなたも楽しそうやし
イチャイチャしてるようにしか、俺には見えへんで
悔しくて2人の姿を見てたら、
俺も食べたいから見てるって、思われてたんか、笑顔の照史が俺にも食べさせてくれてん
って、そうやないねん
…なんやの、この2人の空気感
付き合っとるみたいやないか
あなたがもう1種類も食べたいって、ねだってて、
また食べさせてもらっとるんも腹立つけど
上手く食べれんで、口の横にご飯粒がついとって
あなたに『ついてんで』
って伝えようと思ったら
照史がホンマに自然な動作で
あなたの口の横についたご飯粒を取って
それを自分でそのまま食べてしまってん
思わず声が出てしまったんやけど
照史は全然気にしてなくて
というか、無意識にやってたんやろな、あれ
流石にあなたも恥ずかしくなったんか
顔真っ赤にして俯いとるし
こういうとこが照史の『人たらし』たる由縁で
ええんやら、悪いんやら
まったく、罪な男やで
って、あなたは仕事部屋に行ってしまって
照史は全然その理由に気づいとらんし
変な空気のまんま、黙々と作業するしかあらへんかった
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。