第47話

翌日の朝 3
946
2021/06/08 03:40
~あなた‘s side~



起こさないように…って思って、仕事部屋で仕事してたんだけど、



昼近くなっても、神ちゃんは起きる気配もなくて

…もう起こさなくちゃダメかな



って思って、様子を見に行った。


神ちゃんはまだソファで熟睡してて、



その寝顔を見ていた。



…まつげ長いなぁ、女の子みたい。



普段は間近でなんて見られないから


シゲちゃんの時もそうだけど、こんなことでもなければ、眺められないよね。




赤ちゃんみたいな寝顔を見つめてた時、


神ちゃんのスマホのアラームが鳴った。



神ちゃんの目が開いて、至近距離で目があう。


智洋
…んっ、あなた…?

寝起きの少し掠れた声で名前を呼ばれて



その、いつもは見せない色気のある神ちゃんに



驚いて思わず、後ずさりしてた。

智洋
危ないって

後ろにあるテーブルにつまづいて、バランスを崩しかけた時、



慌てた神ちゃんが私の腕をとって、自分の方に引き寄せた。

そしてそのまま、神ちゃんの腕の中に抱き寄せられていた。



神ちゃんの両腕に力がこもる。


…神ちゃんって、こんなに逞しかったっけ?


WESTのみんなは背が高い人が多いから、



なんとなく神ちゃんは華奢な印象だったんだけど



…そんなことないんだ。


厚い胸板に、今まで気づかなかった男らしさを感じて、



心臓が早鐘のように鳴っているのがわかる。


見上げた神ちゃんは、見たことないくらい真剣な顔をしてて



どうしたらいいか、わからなくなる。
あなた
…神…ちゃん?

何とか声を振り絞って、神ちゃんを呼んだ。

智洋
ご、ごめん。大丈夫やった?

その声に驚いて、神ちゃんの腕がほどけた。



神ちゃんの目はいつもの優しい光に戻ってて、ちょっと安心する。
智洋
おかげでゆっくり休めたわ。
智洋
ほな、俺行くな。

いつものように微笑んで、私の頭をポンポンって軽くたたく。


智洋
もうすぐクランクインやな。
あなた
うん、楽しみ
智洋
じゃあ、また来るわ。
あなた
うん、またね。
玄関を出ていく背中が、少しだけいつもと違う人に見えた。



…男の人なんだなぁ。



胸の鼓動はまだ鳴りやまなかった。





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