第43話

突然の訪問 6 ~智洋‘s side~
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2021/06/06 15:41
智洋
そういえば、コラム読んだで。
あなた
読んだの?

今回の仕事がきっかけであなたは男性ファッション誌の連載コラムの仕事が入ったらしく



そのテーマが『モテ男の条件』やったら、そりゃみんな気になるやろ。
智洋
照史が俺のことやん、ってはしゃいでたで

今回は『料理男子』について書かれてて



~男らしいこだわりのある料理もいいけど、そこにあるもので、ささっと作れる人に憧れる~



ってあって。



俺も照史のこと言ってんのかと思ってん。
あなた
神ちゃんも料理男子でしょ
智洋
俺はちゃんと考えんとダメやし、照史みたいに器用にはできへんわ。
あなた
そう? 私からしたら、たいした差ないけどね。

何気なく言ってるんやろうけど、



心が軽くなるのがわかる



俺、結構気にしてたんやな。
あなた
今度は神ちゃんについて書こうかな。

そんな笑顔で言わんといてや。



気持ちが抑えられなくなるわ。




少しして、あなたがうとうとしとるのに気づいた。

智洋
昨日遅かったん?
あなた
うん、コラムの〆切だったから、あんまり寝てない。
智洋
寝ててええよ。俺シゲ起きるまで起きとるし




最初は『そんなの悪いでしょ』って言ってたけど、



眠気には勝てへんで、あなたは寝室に行き、寝てしまった。




しゃーない、ゲームのレベル上げでもしとるか。







一人でゲームしとったら、スマホが鳴った。

淳太
神ちゃん、あなたちゃん、電話に出えへんけど、どうなった?

LINEでは現状説明しといたんやけどな。

智洋
あなた、昨日徹夜だったから、もう寝とる。
智洋
シゲはまだ起きへんから、ゲームしながら待っとるとこ。
淳太
流星は帰ったんやろ?
淳太
俺ら、これから行こうかって言っとるんだけど
智洋
もう遅いし、近所迷惑やん。
智洋
それに2人とも、明日は朝から生放送やろ。


番宣で明日は朝から生放送なの、知っとったんだ。



だから、来るわけないやろって思って、流星帰したんやもん。

淳太
そうなんやけどさ、ホンマに大丈夫?
智洋
大丈夫やって。
淳太
ならええけど、何かあったら、連絡してや。
智洋
わかったで
淳太
それとな、
淳太の声色が変わる。
淳太
あなたに手出すなよ

最後にそう言って、電話が切れた。

…はぁっ、今の何?
メンバーには俺の気持ち知られんように隠しといたつもりやったけど、



淳太は気づいとるん?







俺は寝室で寝ているあなたを覗いてみた。




…ぐっすり寝とるな。




そっと部屋に入り、ベッドサイドにしゃがみこむ。


初めて会った時から違うもの感じてた。



それが何やって言われても、上手く説明できへん気持ちだけど



特別な予感があった。



あなたはすやすや寝とって、まるで眠れぬ森のお姫さまみたいで



この寝顔にキスしたら、目覚めて王子さまと幸せになるんやろうか。



そーなら、俺がその王子さまであってほしい。

この唇に触れたいけど、



触れてしもうたら、もう気持ちが止められんくなる。



あなたの首筋にキスをして、耳の後ろに小さなしるしをつける。



…マーキング完了。



明日には消えてしまうよな、小さなしるし


淳太の言葉が頭によぎるけど、



…これくらいはええやろ


智洋
好きやで

寝顔のあなたはかすかに微笑んだ気がした。




俺はその寝顔をずっと眺めてたんや。

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