第24話

おでかけ ~神山編~ 4
935
2021/05/30 01:02
智洋
なぁ、どこか行きたいとことかあるん?

あてもなく、車を走らせる。


あなた
う~ん、どこがいいかな~。
あなた
でも、ずっと引きこもってたから、外に出れるだけで楽しいかも。
智洋
脚本、順調なん?
あなた
う~ん、昨日プロットと細かいキャラ設定とか出して。
あなた
それを元にセットやら、衣装やら、ロケ先決めて
あなた
それから、細かくストーリー割してかないといけないから、これからが大変かも。
智洋
じゃあ、あんまし休めてないやん。今日連れ出して大丈夫やった?
あなた
大丈夫だよ。仕事残したくないから、昨日頑張ったんだもん。
あなた
せっかく神ちゃんと出かけるんだもんね。


…めっちゃ可愛いことを



これって無意識に言ってるんやろな。


そんな顔して言われたら、ホンマにヤバいやん。



~ちょっと外を歩きたい


ってあなたが言うから、小高い丘の展望台で車を止めた。

あなた
あ~っ、気持ちいい。

あなたが大きく背伸びする。


あなた
ずっと家にいると、身体固まっちゃうんだよね。
智洋
俺でよければ、また連れてくるな。
あなた
うん、お願いね。

あなたが動くと、耳元で揺れるピアスが光る。


智洋
ピアス、可愛ええな。


思わず手を伸ばしてた。


あなた
これね、初めて本出した時に記念に買ったんだ。
智洋
そうなんや。
智洋
垂れ下がるピアスって女の子って感じやな。
あなた
そういえば神ちゃん、今日はピアスしてないんだ。
智洋
俺、仕事の時しかピアスしないんや。

気づいてくれたんや。

智洋
今日はジャニーズWESTの神山じゃなくて
智洋
ただの神山智洋やから。

言葉の意味、わかってや。



気づいてほしい。俺の気持ちにも。


智洋
おそくならないうちに帰るか。

もう少し一緒にいたいけど



帰りの車の中、あなたは疲れたのか、少し眠そうで


智洋
寝ててええよ。俺、横で寝ても気にならへんし。


運転してる時に横で寝られるんのは嫌だって人もおるけど、


俺は信頼してもらえてる気がするんや。


あなたは疲れてたんやろ、うとうとし始めた。



…このまま、遠くに連れていきたい。



…誰にも触れさせんように、閉じ込めてしまいたい。


そんなことはできへんから、ちゃんと家まで送るけどな。



信号待ちの間に、そっとあなたの頬に触れる。


智洋
いつか、俺だけのものになってや。


そう願いを込めて。


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