第33話

鉢合わせ ~望‘s side~ 1
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2021/06/02 15:04
制作発表であった日から、あなたは脚本の完成におわれてるらしく、



メシ食いに行こうやって誘っても、つれない返事ばかり。


まぁ、来月には撮影も始まるし、仕方ないのはわかっとるんだけど。




…会いたいよな~。


どうしたら会えるか、真剣に考えてたんやけど。



そっかぁ、また会いに行けばいいんや。


この前みたいに差し入れしに行こうや。



そうと決まれば早速リサーチや。




何が喜ぶんやろ。



俺はあなたのことを考えながら、必死に何がええか、考えとった。


…………………………………………………………………………………………

次の日、俺は考えに考えて、あなたの喜びそうなもん探して、部屋の前に立っとった。



《ピンポーン》



チャイムを押して、ドキドキして待っといたら、

《はい、どちらさま~》



…えっ、男の声?



あなたって彼氏おったの?


予想せえへん出来事にあたふたしてたら、


崇裕
は~い、って何や、望やん。


ドアから濵ちゃんが顔を出す。

何でおるん?
崇裕
望こそ、何しに来とるん?
俺は忙しそうやし、差し入れと思って

持ってきた袋を見せる。

崇裕
俺も陣中見舞いに来たんや。
崇裕
まぁ、あがりぃ。
濵ちゃんちやないやろ。

とりあえず家ん中に入ると、

智洋
濵ちゃん、勝手に出たらあなたに怒られんで

って、なぜか神ちゃんまでおって。



俺の計画台無しやん。


神ちゃんも来てたん?
崇裕
俺が誘ったんや。女の子の家に1人で来るのはあかん、思ってさ。
崇裕
ちょうど神ちゃん空いてる言うから。

って、言いながら台所で何かしとる。


濵ちゃん、何しとんの?
崇裕
俺か、あなたちゃんにカレー食べさせたろっと思って、作っとる。
神ちゃんは?
智洋
俺は片付けとか掃除とか。
あなたは?
智洋
山ごもり中

神ちゃんが部屋の方を指さす。



…なんやの~、せっかく会いに来たのに。


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