…ホンマに、もう。
濵ちゃんからの電話をきって、あなたの家へ向かう
…せや、
あなたに電話してみると、しばらくコールが鳴った後に出てくれた
《もう少しで家につくとこ》
《ゼリーとかプリン食べたい》
ドラッグストアとスーパーで必要なもん買って、あなたの家に車を走らせる
チャイムを鳴らしてもあなたは出てこんくて
俺が行くって言っといたせいか、家のカギが開いてて
中に入ると、あなたがソファにもたれかかってた。
あなたのおでこに手を当てると、かなり熱かった
体温計を差し出して、熱を測ると39度近くをさしていて
あなたが口を尖らせる
あなたが寝室に入ったのを見届けて、キッチンに向かう。
買ってきたものを片付けて
…やっぱりお粥かな
米を研いで、鍋に入れる
水枕を持って、寝室にいるあなたに声をかける
横になってるあなたに水枕をあてて
サイドテーブルに飲み物を置く
あなたの頭を優しくなでて、部屋から出た
…ホンマになぁ。
いくら照史と約束したからって、具合悪いのに行くことないやろ
しかも具合悪くなった原因も原因やし
まぁ、確かに今日行かんかったら、気にしぃの照史は落ち込むやろし。
まぁ、俺としては、あなたの看病ができるなんて、ホンマは喜んでるんやけどな
うん、濵ちゃんに感謝やな
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!