しばらくして、あなたの泣き声が小さくなってく。
…ようやく落ち着いたみたいやな。
それから少しして、あなたが顔をあげる。
照れくさそうに笑う顔はいつものあなたで
胸につかえてたもんは落ちたんやって思えた。
泣きはらして、浮腫んだ目を気にしとるんやろな。
この前、濵ちゃんや神ちゃんが世話やいてんの、羨ましかったんや。
冷凍庫に鶏肉発見。卵も玉ねぎもあるし
キッチンで準備をしてたら、あることを思い出した。
あなたがカバンの中からスマホを取り出す。
あなたが驚いた顔して、スマホを見ながらキッチンの椅子に座る。
あなたのスマホの画面にはたくさんの着信履歴とLINEの通知がきとった
ご飯が出来る間、部屋で返信をしとるあなた
時々、誰かから電話きとるみたいで、話し声が聞こえる。
~うん、大丈夫。…わかったよ。うん、もう寝るし。
終わったんか、キッチンにやってくる。
思わず緩みそうになる頬を見せんようにするのが精一杯で
料理をする手がおぼつかない。
出来上がった親子丼を見て、笑顔を見せるあなた
…心配してるメンバーには悪いけど
今日は一人占めさせてもらおう。
あなたの笑顔を見ながら、そう思ってたんや。
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。