第9話

個人面談~濵田編~
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2021/05/25 09:00
ようやく半分が終わり


…疲れた


なんて思ってたら


崇裕
お疲れさん、コーヒーでええ?

濵田さんがコーヒーとお茶菓子を持ってきた。

あなた
ありがとうございます。

さりげない気配りが癒されるわ。


崇裕
ほな、時間もないし、始めよか
あなた
はい。よろしくお願いします。
あなた
濵田さんは老舗のお茶屋さんの跡取りで、修行のため飲料メーカーで働く人です。
崇裕
お坊ちゃんやん
あなた
でも、今って急須でお茶とかあまり飲まなくなってるじゃないですか
あなた
で、伝統と今の間で悩んでしまうんです
崇裕
あなたさん的にはどっちが正解?


…やっぱりそうくるよね。


あなた
まだ決めかねてるんです。
あなた
どっちも正しいし、どっちも間違ってないし
あなた
それを一緒に探っていきたいんです。
崇裕
ええよ、俺も真剣に考えるわ
崇裕
でさ、


濵田さんが急に真面目な顔になる。


崇裕
さっき、みんなで顔合わせした時、俺あなたさんの小説読んだって言ったやん
崇裕
俺、昔からずっとファンやってん。
あなた
本当ですか?
あなた
ありがとうございます。
崇裕
お世辞やなく、ホンマやで
崇裕
今日会うん、めっちゃ楽しみにしてたんや
崇裕
だから、これを機に、仲良くなりたいんや
崇裕
あかんかな?


そんな真剣な目で言われたら…



ドキドキしてしまう。


あなた
こちらこそ、喜んで
崇裕
ホンマに?
崇裕
じゃあ、これ


小さな紙を渡される。


崇裕
俺の連絡先、登録しといてや。


そこには電話番号が書いてあった。


崇裕
今、小説の方は何か書いとるの?
あなた
この仕事が落ち着くまでは、ちょっと控えてますが、新作のプロットは作ってます。
崇裕
出来たら、俺に教えてくれる?
崇裕
一番に読みたいって言ったらあかんかな?
あなた
大丈夫だと思いますけど
崇裕
ホンマに?
崇裕
じゃあ、俺、行くわ。
崇裕
またな。



ニコニコ笑顔で濵田さんは出ていった。


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