第26話

顔合わせ後 ~シゲ‘s side~
921
2021/05/30 15:38
~シゲ‘s side~


顔合わせは無事に終わり、俺らは取材があるからとスタジオに残ってた。



…今日のあなた、可愛かったなぁ。



なんて思ってたら。

崇裕
今日もあなたちゃんは可愛かったなぁ。
ホンマに、あのワンピ似合ってたな。
照史
わかる、あれめっちゃええな。

みんなして、あなたのこと褒めてて



何かおもしろくないねん。


シゲ
あーっ
淳太
なんやねん、大きい声出して

…思い出した。


シゲ
俺、あなたと全然話してん。

顔合わせが始まるギリギリに来てん。



話す暇なかったやん。


照史
そりゃ、御愁傷様
残念やったなぁ。

みんな口々にバカにしやがって。



…せっかく会えたのにな。



ってちょっと凹んどったら、
崇裕
せや。あなたちゃん、まだ打ち合わせある言っとったから、その辺にいるんやないの?


…マジで?



…ちょっと行ってこようかな。







っと思って、こっそり出ようとしたら

淳太
おい、どこ行くん?
シゲ
いや、ちょっとトイレ?
照史
何で疑問形やねん。
シゲ
ええやん、ほな行くわ。
流星
おい、ちょっと待てや

制止を振り切り、部屋を出て、あなたを探しに向かう。



…まだいるんやろか。



探しとる時間もないし、電話しようとスマホを出した時、


あなた
あれっ、シゲちゃん?

近くの部屋からあなたが出てきたん。

シゲ
おっ、あなた。偶然やな。
シゲ
まだ帰ってなかったん?
あなた
うん、打ち合わせしてて、これから帰るとこ
シゲ
そっかぁ、忙しい?
あなた
シゲちゃんの方が忙しいんじゃない?

…駄目や。



色々と話したいことはあるねんけど、あなたを目の前にすると、何も言えへん。



電話だともうちょい上手く話せるんやけどさ。


あなたの顔見てるだけで、満足してしまうんや。



…俺は中学生なんか



智洋
シゲ、そろそろ戻らんと。

時間やから、と神ちゃんが呼びに来た。


あなた
じゃあね。
智洋
またな。
シゲ
またな。


なんだろ、会う前より切なくなっとる。



一緒にゆっくり過ごしたいねんなぁ。



俺はあなたの後ろ姿を黙って見送るしか、できへんかった。

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