夜も10時を回り、明日のことどうしようか考えてとったら
部屋のチャイムが鳴った
ドアスコープから覗いてみると、そこに立ってんのは心配顔した照史で…
開けようか、正直迷ったけど、
逃げてもしゃーないから、開けてみた
鳩が豆鉄砲くらったような顔しとる。
そーやろな、逆な立場やったら、俺かてそうなるわ。
濵ちゃんから連絡きたって聞いて、安心しとるけど
何か照史の様子見とるとイライラしてしまう。
嫌な言い方やな~って思うけど
照史の顔も見られへんで、冷蔵庫に照史が買ってきたもんをしまってた
不意に、思いもよらない言葉がやってきた
いきなり言われた言葉に動揺して、手が震える
気づかれてた?
誰にも知られんように、ずっと隠してたのに
照史の言葉はまさにその通りで、何も言えへんかった
照史に問い詰められて、もう隠しとけないなって思う
大きく息を吸って、覚悟を決めた
照史が真剣な目でこっちを見とる
初めてなんや、ここまで強い想いは
照史は昔から頼れるお兄ちゃんで、大好きな人やけど
でも、この気持ちだけは譲れへん
俺の本気に、照史も本気で応える
照史のこんな顔、今まで見たことないわ
真剣で真っ直ぐで、でもどこか温かくて
俺が女の子やったら、惚れてしまうやろな
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!