…今日はあなたに会えるかもしれない
そんなことを昨日から聞いててん。
顔には出さんけど、ひそかに微笑んでた。
あの日以来、あなたとは電話では何度か話せたんやけど、
顔を合わせる機会は全然なくて
やっぱりあん時のこと、顔見てもう一回謝りたいねん
今日は照史がメインの回の収録
照史があなたに見にきて欲しいと誘ったらしい。
この間のシゲん時はシゲが頼んだらしいし、うちのメンバーはまったく…。
っていう俺も自分の時はやっぱり来て欲しいねんな。
誰かに取られないうちに、急いであなたの隣に座る
あなたがクスクス笑ってる
あなたまで俺をいじるんやな
ってそんなことできるくらいになったんやら
何となく、前より肩の力が抜けた気がする。
脚本作りのプレッシャーから解放されたからやんかな
今日は正直にちゃんと話すんや
えっ、そんな簡単でええの?
って、言い終わる前に誰かに頭を叩かれた。
…そうやった、忘れてん
いわれて見たら、ちょっと赤い顔をしてん。
自然な仕草であなたのおでこに手を当てる望
こういうことがスマートにできんの、羨ましいわ
スタンバイの用意ができて、呼ばれる
心配やけど、仕事せんとな
ちょっとだけ後ろ髪をひかれる思いで、俺は光の中に向かった
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。