第70話

宣戦布告 1 ~照史‘s side~
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2021/06/16 15:02
…えっ、こんな時間に何でもんちがあなたの部屋におるの?



予想もしない出来事に言葉を失った

玄関で立ち尽くしとる俺に
智洋
あがらんの?

とだけ言って、部屋の中に戻ってく
照史
なんで、もんちがおるの?
智洋
照史こそ、誰にあなたのこと、聞いたん?
照史
俺は……
照史
しいて言うなら、崇裕からかな
智洋
せやろ
もんちが少し笑う。
智洋
濵ちゃんから連絡あったんや、今日すぐ動けんの俺だけやったし
照史
そうやったんだ

そういえば、崇裕が何か言いかけてたのに、俺はそれを聞かんと出てきたんやった。



もんちに連絡したこと、言いたかったんやろか

智洋
何や、あなたから直接連絡きたかと思ったん?

何となく含みのある言い方が気にかかる



もんちにしては珍しいんよな
照史
あなたの具合はどうなん?
智洋
来た時は39℃ぐらいあったけど、ご飯食べて薬飲んで、ちょっと落ちついとる

話ながらも、もんちは俺の買ってきたもんを冷蔵庫にしまってて


手慣れた様子からも、ここに何度も来てるんやろうなって、感じた

照史
あのさ、もんちはあなたのこと、本気で好きなん?

ふと思いついた疑問をもんちに投げかける。


言葉にすると、今まで散らばってたピースが面白いくらい、見事にハマった。

智洋
なんやの、急に

もんちはこっちを見ずに、冷蔵庫の中を片付けてた。

照史
楽屋でみんながあなたのことで盛り上がってても、もんちは絶対に加わらへんやん
照史
俺、興味ないんやって思ってたけど、違うねんな
照史
本気やから、だろ

もんちの動きが止まる

照史
そうなんやろ?
少しの沈黙の後、大きく深呼吸して、もんちが話し始めた。
智洋
本気やで、俺
智洋
初めてあなたに会った時から、ずっと

もんちが真剣な瞳でまっすぐに俺を見る
智洋
誰にも渡しとおないと思っとる
智洋
照史にも、他の誰にも

ホンマに本気なんねんな。



でもな、俺だって譲れんのよ
照史
ごめん、でも俺も一緒やわ
照史
あなたのこと、守りたいって思っとる

本気の気持ちには、本気で応えるしかない



あの日、あなたの孤独を知った時から

それまでゆっくり育ててた気持ちが確信に変わった



もうあんな悲しい顔で泣かせたくない。

照史
好きなんや、誰よりも
照史
だから、もんちにも譲れへんわ

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