…えっ、こんな時間に何でもんちがあなたの部屋におるの?
予想もしない出来事に言葉を失った
玄関で立ち尽くしとる俺に
とだけ言って、部屋の中に戻ってく
もんちが少し笑う。
そういえば、崇裕が何か言いかけてたのに、俺はそれを聞かんと出てきたんやった。
もんちに連絡したこと、言いたかったんやろか
何となく含みのある言い方が気にかかる
もんちにしては珍しいんよな
話ながらも、もんちは俺の買ってきたもんを冷蔵庫にしまってて
手慣れた様子からも、ここに何度も来てるんやろうなって、感じた
ふと思いついた疑問をもんちに投げかける。
言葉にすると、今まで散らばってたピースが面白いくらい、見事にハマった。
もんちはこっちを見ずに、冷蔵庫の中を片付けてた。
もんちの動きが止まる
少しの沈黙の後、大きく深呼吸して、もんちが話し始めた。
もんちが真剣な瞳でまっすぐに俺を見る
ホンマに本気なんねんな。
でもな、俺だって譲れんのよ
本気の気持ちには、本気で応えるしかない
あの日、あなたの孤独を知った時から
それまでゆっくり育ててた気持ちが確信に変わった
もうあんな悲しい顔で泣かせたくない。
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。