昨日は結局ほとんど寝れずに起きていて、
朝ごはんにって、パンケーキ作って食べたら、
…あかん、めっちゃ眠たくなってきてん。
ソファに座ってはみたんやけど、
このまま家に帰る自信は正直言ってない。
あなたの言葉に甘えて、ソファに横になる。
…俺、シゲのこと、文句言われへんな。
眠気はすぐに訪れて、俺はそのまま深い眠りに落ちていった。
…ピピピピ
遠くでスマホの目覚ましの音が聞こえる。
…今何時や。
アラームを止めようと、うっすら目を開けたら、
すぐ近くにあなたがおって、
一瞬、夢か現実か、分からんくなってた。
そん時、目の前のあなたが驚いて、後ずさりしようとして、
後ろにあるテーブルにつまづいて、バランスを崩しそうになってた。
思わず、その腕をとって、自分の方に引き寄せる。
勢い余って、あなたが俺の胸に飛び込んできた。
…まだ夢みてんのか?
あなたが俺の腕の中にいる。
首筋にうっすら残る”しるし“が目に入った瞬間
身体中の血液が沸き上がる感覚がした。
思わず回した腕に力が入る。
わずかな時間が永遠に感じるように、時が止まる。
…このまま、ずっとこうしていれたら…。
あなたの困ったような声で、ようやく我に返り、その腕をほどいた。
あなたが小さく頷く。
どことなくぎこちない空気が流れてく。
いつものように、あなたの頭に軽く触れて
荷物を持って玄関に向かう。
…早く行かな。
心臓が破裂しそうなくらい、胸が苦しい。
でも、それを見せたくはないんや。
いつものように、話して、玄関を出る。
あなたの家が見えなくなるところまで来て、その場に座り込んだ。
…俺、もうあかんわ。
気持ちが溢れて止まらない。
動くこともできず、しばらくその場に座り込んでいた。
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。