第7話

心材ノ、相違
45
2018/05/14 13:31
家に帰って、用意していた
プレゼントを渡した。
松浦 汐
松浦 汐
心乃ー、こ、これ!
春屋 心乃
春屋 心乃
わー、なにこれ!
嬉しいー!
松浦 汐
松浦 汐
プ、プレゼント…です
春屋 心乃
春屋 心乃
本当にいいの?
松浦 汐
松浦 汐
こ、心乃への
感謝というか…
春屋 心乃
春屋 心乃
本当に?
とっても嬉しい、ありがとう!
心乃の純粋な笑顔を、
このままずっと見ていたかった。
春屋 心乃
春屋 心乃
開けてもいい?
松浦 汐
松浦 汐
全然いいよ
心乃に似合いそうな、
ネックレスをあげた。

初めての人へのプレゼントは
心残りなく渡せた。
春屋 心乃
春屋 心乃
綺麗…嬉しい!
つけて!
松浦 汐
松浦 汐
えっ、あ、うん
いつか人に、
プレゼントのネックレスを
渡して、その人の首に
付ける日がくるなんて。

昔の僕は考えたことが
あっただろうか。


君の体は、いつも見ているより
痩せているように感じた。
松浦 汐
松浦 汐
……
春屋 心乃
春屋 心乃
ねえ、なんか喋ってよ!
恥ずかしいじゃん…
松浦 汐
松浦 汐
ご、ごめん。
できたよ
春屋 心乃
春屋 心乃
やっぱり綺麗だなー、
ありがとね、汐!
松浦 汐
松浦 汐
お、おう
心乃に見惚れていた。


僕の君への想いは、
いつになったら届くのだろう。
春屋 心乃
春屋 心乃
こうやって、日頃の感謝を
伝えてくれるのは、
非常にありがたい…
ウフフッ、とおどけた君を見て
気づいた。


僕の人生、待ち続けるのは
もうとっくにやりきった。
新しい自分になった。

君と出会って、違う自分を知った。


僕は君に、
伝えなくちゃならないことがある。
春屋 心乃
春屋 心乃
本当にありがとうね…
じゃ、おやすみ!
松浦 汐
松浦 汐
あ、あの…
ガチャンッ、とドアが閉まって
寝ようと部屋に行ってしまった。


勇気はまだ、足りなかった。


_____________________

汐が今日、私にプレゼントを
くれた。覚えているうちで、
一番嬉しかった。


でもやっぱり、君を好きにはなれない。

なったら…いけない。



ネックレスをつけてもらってから、
恥ずかしさと、とてつもない嬉しさで
涙をこらえられなくなったから、
急いで部屋に戻った。


君に涙を見せたら、後悔する。
春屋 心乃
春屋 心乃
……すき…?
少し泣きながら思った。

気づいたら君のこと、
考えてしまってたんだ。


こう言ったら、こうするかな。
そうしたら、なんて言うかな…


意識し合っていても、
伝えてはいけなかった。

伝えたくなかった、自分の事。
春屋 心乃
春屋 心乃
だめだー…
> プルルルルル…
プルルルルル…
春屋 心乃
春屋 心乃
もしもし
小林
わしじゃ
春屋 心乃
春屋 心乃
小林さん、どうしたんですか?
小林
いや、あの後何かあったか
と思ってな
春屋 心乃
春屋 心乃
あぁ、そうですね…
小林
ん?
春屋 心乃
春屋 心乃
このままだと
好きになっちゃう人がいます…
小林
おほっ、そうかそうか…
春屋 心乃
春屋 心乃
だから、いなくなろうと
思います
小林
松浦くんの前からか?
春屋 心乃
春屋 心乃
…はい
彼の記憶から、
私を諦めたいんです
小林
…そうか、心乃ちゃんの想いを
尊重するしかないな
小林
でも、少しだけ
切なくも思うな
春屋 心乃
春屋 心乃
え?
小林
伝えないのか?松浦くんに
春屋 心乃
春屋 心乃
……
小林
伝えるべきだと思うがね、
心乃ちゃんなりのやり方を
尊重しよう
春屋 心乃
春屋 心乃
わかりました
私なら…
小林
それは面白いな、
心乃ちゃんらしい
春屋 心乃
春屋 心乃
ありがとうございます、
それじゃあ
直接君に想いを伝えたら、

胸が張り裂けそうだった。

だから、違う方法を考えた。


君は…


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