家に帰って、用意していた
プレゼントを渡した。
心乃の純粋な笑顔を、
このままずっと見ていたかった。
心乃に似合いそうな、
ネックレスをあげた。
初めての人へのプレゼントは
心残りなく渡せた。
いつか人に、
プレゼントのネックレスを
渡して、その人の首に
付ける日がくるなんて。
昔の僕は考えたことが
あっただろうか。
君の体は、いつも見ているより
痩せているように感じた。
心乃に見惚れていた。
僕の君への想いは、
いつになったら届くのだろう。
ウフフッ、とおどけた君を見て
気づいた。
僕の人生、待ち続けるのは
もうとっくにやりきった。
新しい自分になった。
君と出会って、違う自分を知った。
僕は君に、
伝えなくちゃならないことがある。
ガチャンッ、とドアが閉まって
寝ようと部屋に行ってしまった。
勇気はまだ、足りなかった。
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汐が今日、私にプレゼントを
くれた。覚えているうちで、
一番嬉しかった。
でもやっぱり、君を好きにはなれない。
なったら…いけない。
ネックレスをつけてもらってから、
恥ずかしさと、とてつもない嬉しさで
涙をこらえられなくなったから、
急いで部屋に戻った。
君に涙を見せたら、後悔する。
少し泣きながら思った。
気づいたら君のこと、
考えてしまってたんだ。
こう言ったら、こうするかな。
そうしたら、なんて言うかな…
意識し合っていても、
伝えてはいけなかった。
伝えたくなかった、自分の事。
> プルルルルル…
プルルルルル…
直接君に想いを伝えたら、
胸が張り裂けそうだった。
だから、違う方法を考えた。
君は…
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。