フロイドの"会うな"と言う言葉が引っかかるが今は3人の顔を見ないと落ち着こうにも落ち着けない。
意味は後で聞くとして、取り敢えず会わなきゃ始まらないだろうとジェイドの姿を探していた。
どこにもいない。
ラウンジにも、キッチンにも、トイレにも、倉庫にも、どこにもいない。
出かけてしまったのだろうか。それとも僕と同じように学園長への状況説明?いやいや、そうだとしたら普通3人で行くだろう。
どこだ、どこにいる。
ぐるぐると寮内を練り歩いた。
ジェイドはフロイドと大喧嘩をしたらしいし、もしかしたら医務室にいるのではないだろうか。
休んでいるとまでは行かなくても、治療をする為に。
我ながらいい発想だと自画自賛しつつ目的地に向かって体の向きを変えた。
先生は居ないらしく、そろそろと顔を覗かせて室内を見渡す。
すると、少し奥に置いてあるベッドに腰を下ろす見覚えのある背中を見つけた。
思わず、名前を呼んでしまう。
にこり、といつものように微笑む彼の目は、死体を見る目と同じ、無感情で濁った色をしていた。
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。