※本作はゲーム『ハムデパート まじかるクラフト』を紹介するプロモーション作品です
休日のデパートは、いつ来ても少し特別な場所みたいに感じる。
今日はちょっとだけおしゃれして来たから、なおさらだ。
ガラス張りの入口の向こうには、きらきらした光と人の流れ。
ショーウィンドウには春っぽいワンピースやバッグが並んでいて、ぜんぶ可愛く見える。
近くを通った人からふわっと香水の匂いがしたり、コスメ売り場の甘い香りが流れてきたり。
目に入るものも、空気まで、なんだか少しきらきらしている気がする。
私は少し背伸びした気持ちで、入口近くの大きな時計を見上げた。
そのとき。
聞き慣れた声。
振り向くと、琴音さんが手を振っていた。
ベージュのジャケットに細身のパンツ。
相変わらず、すらっとしていて格好いい。
琴音さんは、お母さんのお姉さん。
私にとっては伯母にあたる。
子どもの頃からよく遊んでもらっていて、今でも会うとなんだか嬉しくなる。
四十歳、独身。
会社では部下が何人もいて、いつも忙しそうに働いている人だ。
でも、会うといつも優しくて、笑顔が素敵で。
──私の憧れの大人。
そう答えると、琴音さんは安心したようにうなずいた。
なんでも、なんてさらっと言うところが琴音さんらしい。
でも、いざ「何でもいい」と言われると、逆に困っちゃう。
服もいいなと思うし、バッグも欲しい。
アクセサリーもかわいいのがいっぱいある。
でもどれも「絶対これ!」って決めきれない。
しばらく売り場をぐるぐる歩き回ったあと、私は立ち止まってしまった。
完全に迷子状態。
そんな私を見て、琴音さんがくすっと笑う。
私は頭を抱えた。
頭の中がぐるぐるする。
琴音さんはそんな私の様子を眺めながら、軽く肩をすくめた。
即答だった。
レストラン階のカフェに入ると、案内されたのは運よく窓際の席。
見晴らしがすごくいい。
しばらくして注文したパンケーキが運ばれてきた瞬間、私は思わず身を乗り出した。
ふわふわのパンケーキ。
山みたいに乗ったクリーム。
真っ赤な苺がたくさん。
ナイフとフォークを構えたところで、琴音さんが口元をゆるめた。
私は慌ててスマホを取り出す。
ぱしゃ。
……もう一枚。
ついでにもう一枚。
せっかくだから琴音さんにもカメラを向けると、にっこり微笑んでくれた。
──美人の笑顔って、破壊力すごい。
お返しに、と私とパンケーキの写真も撮ってもらう。
ようやく満足して、フォークを入れた。
一口。
思わず声が漏れる。
慌ててナプキンで口元を拭く。
高校生になったのに相変わらず子どもっぽいって思われてるかも……。
ちらり、と様子をうかがうと、琴音さんはコーヒーを飲みながら、楽しそうにこちらを見ていた。
ぽつりとこぼす。
パンケーキをつつきながら続ける。
そう言うと、琴音さんはうなずいた。
琴音さんはコーヒーを一口飲んでから、こちらを見る。
そして、さらっととんでもないことを言った。














編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。