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第1話

パンケーキと、小さなデパート
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2026/03/10 06:00 更新
※本作はゲーム『ハムデパート まじかるクラフト』を紹介するプロモーション作品です
休日のデパートは、いつ来ても少し特別な場所みたいに感じる。
今日はちょっとだけおしゃれして来たから、なおさらだ。

ガラス張りの入口の向こうには、きらきらした光と人の流れ。
ショーウィンドウには春っぽいワンピースやバッグが並んでいて、ぜんぶ可愛く見える。

近くを通った人からふわっと香水の匂いがしたり、コスメ売り場の甘い香りが流れてきたり。
目に入るものも、空気まで、なんだか少しきらきらしている気がする。
私は少し背伸びした気持ちで、入口近くの大きな時計を見上げた。
そのとき。
琴音
琴音
ここあ!
聞き慣れた声。
振り向くと、琴音さんが手を振っていた。

ベージュのジャケットに細身のパンツ。
相変わらず、すらっとしていて格好いい。

琴音さんは、お母さんのお姉さん。
私にとっては伯母にあたる。
子どもの頃からよく遊んでもらっていて、今でも会うとなんだか嬉しくなる。

四十歳、独身。
会社では部下が何人もいて、いつも忙しそうに働いている人だ。
でも、会うといつも優しくて、笑顔が素敵で。
──私の憧れの大人。
琴音
琴音
久しぶり。高校生活どう?
心愛
心愛
まだ始まったばっかりだけど……楽しいよ
そう答えると、琴音さんは安心したようにうなずいた。
琴音
琴音
それは良かった。今日はそのお祝いだからね
心愛
心愛
ありがとう!
琴音
琴音
心愛の高校入学祝いと誕生日。なんでも好きなもの買ってあげる
なんでも、なんてさらっと言うところが琴音さんらしい。
でも、いざ「何でもいい」と言われると、逆に困っちゃう。

服もいいなと思うし、バッグも欲しい。
アクセサリーもかわいいのがいっぱいある。
でもどれも「絶対これ!」って決めきれない。

しばらく売り場をぐるぐる歩き回ったあと、私は立ち止まってしまった。
完全に迷子状態。
そんな私を見て、琴音さんがくすっと笑う。
琴音
琴音
……迷ってるわねぇ
心愛
心愛
ううう……
私は頭を抱えた。
心愛
心愛
だってさっきのワンピースも可愛かったし、その前に見たバッグも良かったし……靴はこの前お母さんに買ってもらったからいいとして……あーもうどうしよう!
頭の中がぐるぐるする。
琴音さんはそんな私の様子を眺めながら、軽く肩をすくめた。
琴音
琴音
ちょっと休憩する?
心愛
心愛
する〜!
即答だった。

レストラン階のカフェに入ると、案内されたのは運よく窓際の席。
見晴らしがすごくいい。

しばらくして注文したパンケーキが運ばれてきた瞬間、私は思わず身を乗り出した。
心愛
心愛
わあ!
ふわふわのパンケーキ。
山みたいに乗ったクリーム。
真っ赤な苺がたくさん。
心愛
心愛
かわいい〜!おいしそう〜!
ナイフとフォークを構えたところで、琴音さんが口元をゆるめた。
琴音
琴音
写真撮らなくていいの?
心愛
心愛
あ!
私は慌ててスマホを取り出す。
心愛
心愛
撮る撮る! 忘れてた!
ぱしゃ。
……もう一枚。
ついでにもう一枚。
せっかくだから琴音さんにもカメラを向けると、にっこり微笑んでくれた。
──美人の笑顔って、破壊力すごい。

お返しに、と私とパンケーキの写真も撮ってもらう。
ようやく満足して、フォークを入れた。
一口。
心愛
心愛
おいひい……
思わず声が漏れる。
琴音
琴音
ほっぺにクリームついてるわよ
心愛
心愛
えっ!?
慌ててナプキンで口元を拭く。
高校生になったのに相変わらず子どもっぽいって思われてるかも……。
ちらり、と様子をうかがうと、琴音さんはコーヒーを飲みながら、楽しそうにこちらを見ていた。
心愛
心愛
……でもほんと、迷っちゃう
ぽつりとこぼす。
琴音
琴音
プレゼント?
心愛
心愛
うん。だって……せっかく琴音さんに買ってもらうし
パンケーキをつつきながら続ける。
心愛
心愛
服もかわいいのいっぱいあったし、バッグもいいなって思ったし……
琴音
琴音
まだ時間あるんだから、たっぷり悩みなさい
心愛
心愛
ううー……でもね、デパートってなんでもあって楽しいから大好き!
そう言うと、琴音さんはうなずいた。
琴音
琴音
それ、最近よく思う
心愛
心愛
え?
琴音さんはコーヒーを一口飲んでから、こちらを見る。
琴音
琴音
最近ね、私
そして、さらっととんでもないことを言った。
琴音
琴音
ハムスターのデパートを経営してるのよ

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