第133話
私の最悪な日
「■■■公園に行ってみないか?」
アキトを通じて仲良くなった男子生徒の
一言でその日の夜、
ミカ達は
学校近くにある公園に集まることになった。
■■■公園は
ミカ達が生まれる少し前に作られた
周辺住民達のいこいの場で
大きな池があるのが特徴だ。
昼間は散歩をするお年寄り、
ランニングをする若者、
子連れの母親、
色々な人達が集まり
とてもにぎやかなのだが
夜になると全く人がいなくなる。
というのも、
■■■公園には
夜になると《出る》らしい。
何年か前に望まない妊娠をした若い女が
公園内にあるトイレで赤ん坊を産んだ。
生まれたばかりの赤ん坊を
女はコンビニのビニール袋に入れ
さらにその上から砂場の砂を入れ
窒息死させ、
それから池に投げ捨てた。
数日後池に赤ん坊の死体が浮かんできて
事件は発覚し
警察の調査の末、
女は捕まる。
━━そんな凄惨な出来事が起こってからだ。
夜になると公園の池の近くで
赤ん坊の泣き声が
聞こえると噂になったのは。
赤ん坊の泣き声だけにとどまらず
首のない兵隊の霊が出るとか、
全身血だらけの女の霊に
追い回されるとか・・・、
噂はどんどんエスカレートしていった。
ほとんどの噂は
ネットや雑誌で捏造されたものだったが
赤ん坊の泣き声だけは
本当らしくミカの先輩や後輩達
数人がソレを聞いている。
周辺住民達は
噂を知っていて
実際に体験した者もいるが
昼の公園は何も問題ないので
今まで通り利用しているらしい。
昼と夜で違う顔を見せる
《■■■公園》。
何かと理由をつけて集まり騒ぎたい
年頃の者達が《肝試し》をするには
もってこいな場所だった。
《■■■公園》と
《肝試し》の単語が出た瞬間、
怖いものが苦手なミカは
話をやめてもらいたかったが
楽しそうな恋人と友人達の様子を見て
『ノリの悪い奴』と思われるのが嫌で黙る。
幽霊は怖いが
《みんな》から《仲間はずれ》に
される方がもっと怖い。
それにアキトは人気者。
自分がいない間に
他の女と仲良くなってしまう可能性が
あるのも気に入らなかった。
毎日みんなで寄り道して帰るのに
夜のために各々早く帰ることになり
ミカは家への道をとぼとぼ歩く。
ミカの家とは反対方向のアキトが
いつもなら送ってくれるのだが
それも無しになった。
男友達と肝試しの準備を
色々するからだと言う。
そんなの断ればいいのにと思いながらも
優しいアキトのことだから
しかたないと無理矢理自分を納得させる。
大嫌いな《家》に戻って、
大嫌いな《怖いこと》をしに向かう。
ミカにとって
今日は最低最悪な1日になってしまった。