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2021/10/10

第135話

私の家
2階建てで洋風なつくりの
水色の屋根の家。

自分の家が見えてきてミカは顔をしかめる。
ミカ
ミカ
・・・まだ帰ってなきゃ
いいけど
誰に言うともなくつぶやき
玄関のドアノブに手をかけると
鍵はかかっておらずドアは開いた。

わかってはいたが
《母》は先に帰ってきていたのだと
ミカは肩を落とすが
すぐにその顔に笑顔をつくり
元気な声を出す。
ミカ
ミカ
ただいまーっ!
キッチンに向かうと
エプロン姿の母が夕食の用意をしている。

ろくな手入れもされず
ただ白髪染めをしただけの傷んだ
ボブカットの黒髪。

毎日同じ口紅とファンデーションを塗り
顔色はまぁ良いが
どこか陰気臭さを感じさせる
一重の目がミカの方を向いた。
???
???
あら、お帰り。
ミカちゃん
ミカ
ミカ
今夜はシチュー?
ちょうど食べたかった~
???
???
うふふ・・・!
やっぱりミカちゃんは
そう言うと思った!
もうすぐできるから
着替えてきなさいね
ミカ
ミカ
はーい!
『よかった』

自分の部屋に向かいながら
ミカは胸を撫で下ろす。

今日の母は機嫌が良いらしい。

近所のスーパーに勤めている母は
嫌なことがあると
聞いてもいないのに一方的に
ミカに愚痴をもらしてくる。

「今日来た頭の悪そうな客、
おとなしくレジの順番も待てないのっ!」

「子どもがお菓子の箱あけてるのに
母親は見てみぬふりして・・・っ!」

どうでもいい。

いつもミカは
「そうなの?」
「大変だね」
と相づちをうちながらも
頭の中で別の事を考えていた。

ミカが小さな時、
母は《こんな》人ではなかった。

髪の手入れもちゃんとしていたし、
いつもニコニコしていて
メイクだってその日その日で
口紅を変えたり、
ネイルだってしていたのに。

何より、
ミカの前でマイナスな事を
言うことがなかった。

━━それなのに、《今》は・・・。




◆◇◆◇◆◇

夕食をすませ、
風呂に入ったミカは自室にもどり
ベッドの上で
スマホを弄りながら時間を潰す。

壁にかかった時計の針が
9時をさしている。

■■■公園に集まるのは11時。

家を10時半すぎに出たら
余裕があるくらいだろうか。

アキトからLINEで
メッセージがきていて
彼も同じくらいに家を出る予定だそうだ。

肝試しは嫌だが
夜もアキトに会えるのは嬉しい。

皆それぞれオシャレしてくるはず。
アキトの《彼女》として
恥ずかしくない格好をせねば。

ミカはベッドから起き上がり
クローゼットを開いた。


◆◇◆◇◆◇

膝下まである長さの
ピンク色のダッフルコートを
黒いセーターの上に着て
ミカはこっそりと部屋を出る。

誰もいないことを確認し
玄関に向かうと
仕事から帰ってきた父の革靴があるのに
気づく。

これも毎日のことだが
父はいつの間にか帰ってきている。

帰ってきても母とミカに
あいさつすらしない。

『いつまで
こうするつもりなのかな』

わざと父の革靴の上にのり
ミカは靴箱から
自分のブーツを取り出し履くと
家を出た。

━━今夜は月がない。