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2021/10/13

第138話

ほしいです
「《おねえちゃん》がほしいです」

あなたはそう言った。
◆◇◆◇◆◇

━━その日、
あなたは真人の部屋で
絵本を読んでいた。

何気なく窓辺に座り外へ目をやると
アパートの庭で日向ぼっこしながら
絵本を読むあなたを見つけ

『あなたとゆっくり本を読むのも
良いな』

と思い真人は
彼女を部屋に誘ったのだ。

畳に寝転び小説を読む真人の横に
あなたも並び
クレヨン片手に
絵本のページをめくっている。
あなた

お・は・な~・・・、
く・る・ま~

あなたは絵本を読むのが好きだ。
最近特に気に入っているのは
文字を書き込むタイプの
学習絵本だった。

イラスト(例えば犬とか猫)の下に
白い空欄があり中にその名前を
書くという小さな子ども向けの
内容がとても面白いらしく夢中になって
黒いクレヨンで本に書き込んでいる。

《無為転変》で
精神年齢相応の姿になったあなたを見て
真人は微笑む。

あの・・漏瑚ですら骨抜きにする
可愛さ。

少ししたら元の姿に戻してやろうと
思っていた真人だったが、
あなた本人も漏瑚も花御も陀艮も
みんな気に入っている様なので
正直ずっとこのままでもいいかもしれない。

マスコット枠が
1人いても悪くはないだろう。
むしろ士気が上がる気がする。
あなた

うーん・・・

真人(まひと)
真人(まひと)
どうしたの、
わからないとこでもあった?
あなた

真人さまー・・・、
コレはどう書けばいいですか?
あなた、
わからないですぅ・・・

真人(まひと)
真人(まひと)
どれどれ・・・
『子ども向けの本だから
難しすぎる問題はないはずだけど』

あなたが指さすページを見ると
仲の良さそうな家族のイラストが
描かれていた。

それぞれのイラストに
《おとうさん》、《おかあさん》、
《おじいちゃん》、《おばあちゃん》、
《おにいちゃん》、《おねえちゃん》
《じぶん》の文字と空欄があり、
ページの一番下に大きく
《かぞくみんなのなまえをかきましょう》
とある。

「ああ」と真人は納得した声を出す。

━━《家族》。

この問題は確かに難しかっただろう。

あなたには
家族に該当する者はいない。

そもそも人間ではないから
血の繋がりのある者も存在していないのだ。
(あなたの《体》には存在するが)

様々な形があるが
一般的な《家族》というのは
やはり《血の繋がり》がある者達の集まり
というのが大きいところだろう。

『俺達は━━━。
《家族》で、いい・・・かな?』

真人、あなた、漏瑚、花御、陀艮。

仲間達の顔を思い浮かべ
真人は考える。

元を辿れば
《呪い》の《親》は皆、《人間》。

人間達の負の感情から呪いは生まれる。

それなら自分達は
ある意味《家族》で間違いない━━はず。

真人はあなたから
クレヨンを受けとる。
真人(まひと)
真人(まひと)
《じぶん》のところは
《あなた》で良いとして・・・
男の子とも女の子ともとれる
イラストの空欄に真人は《あなた》と
書き込む。
真人(まひと)
真人(まひと)
他のところは
俺達の名前を書けば良いよ
あなた

ん、と・・・。
そしたら、あなたは
真人様達と《かぞく》に
なっていいですか?

何故かあなたは顔を赤らめ
もじもじと恥ずかしそうにしている。
真人(まひと)
真人(まひと)
もちろん。
それともあなたは
嫌?
あなた

イヤじゃないですっ!
あなたは
みんなと《かぞく》、
嬉しいですっ!!

真人(まひと)
真人(まひと)
フフ・・・!
良かった
体を起こしあなたを膝の上にのせると
真人は再びクレヨンを動かし始めた。
真人(まひと)
真人(まひと)
《おにいちゃん》は
俺と陀艮・・・。
《おとうさん》は
漏瑚、
《おかあさん》は
花御でよくない?
あなた

真人様と陀艮様は
あなたの
《おにいちゃん》・・・っ

真人(まひと)
真人(まひと)
うん
あなた

漏瑚様は《おとうさん》っ!

真人(まひと)
真人(まひと)
うん、
《おじいちゃん》にするか
迷ったけど
あなた

花御様は《おかあさん》ですっ!?

真人(まひと)
真人(まひと)
そ、花御優しいし
あなた

うふふ・・・っ!
あなたの《かぞく》が
できちゃったです・・・!

漏瑚がいたら確実に
強烈なツッコミがとんできそうだが
生憎部屋には真人とあなたしかいない。

『我ながら良い配役だ』と
真人は満足そうに絵本を見た。

残るは《おじいちゃん》、
《おばあちゃん》、
《おねえちゃん》の部分だが
ここは空白でも問題ないだろうと
バツ印を書き込もうとした時
あなたは《おねえちゃん》のイラストを
指さす。
あなた

真人様・・・、
あなたは
《おねえちゃん》がほしいです

真人(まひと)
真人(まひと)
《おねえちゃん》か・・・
滅多に物を欲しがらないあなたの願い。

少し間をおいてから
真人は自らの姿を《女》にする。
もともと真人に性別は
無いようなものだが、
姿をそれらしくすることは
簡単だ。

手足は細く華奢だが、
胸は大きく膨らみ
色っぽい姿になった真人を見て
あなたは
一瞬「わぁ!」と声をあげ喜んだが
すぐに不満そうな顔になった。
真人(まひと)
真人(まひと)
俺が《おねえちゃん》は
気に入らなかった?
あなた

うぅん・・・
とってもキレイで、
あなた、
真人様の《おねえちゃん》
好きですけど、
真人様はあなたの
《おにいちゃん》が
いいですよ・・・

真人(まひと)
真人(まひと)
そっか~
《おねえちゃん》姿の真人はとても魅力的だったが
あなたにとって彼は
《おにいちゃん》のイメージが
強かったらしい。

常に母性的なものを求めているあなたは
不満そうにしながらも
柔らかい胸の感触が心地良いのか
真人の胸に顔をうずめている。

その頭を撫でてやりながら
《おねえちゃん》を
《作る》か《取ってくる》か
真人は考えていた。