第25話

いい加減にして
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2022/05/04 11:54
ドクドクと鼓動が聞こえる。

チャイムが鳴ると下條先生は腕時計を確認して、慌ててバインダーに記入をする。

「じゃ、これで学活終わりな。急いで帰る支度しとけよ」

そういうと号令もかけず急ぎ足で教室から飛び出して行った。


雨の音が聞こえる。

空は暗く、どんよりとしていて夕日などに出番を与える隙もなかった。

ドクドクと鼓動が速くなっている気がする…

雨の音が私を焦らす。

目頭が熱い。

時計の針の音までが鮮明に聞こえる。


呼吸が速くなる、

周りの音が聞こえない…








ガタンッ、



気がついた時には立ち上がっていて、椅子が勢いよく後ろへ倒れた。

呼吸がうまくできない。目頭が熱い、熱い、息が詰まりそうで、まるで海の底にいるみたい。


ざわざわとした教室でチラチラと私への視線が痛い。


「ちょっ、夏乃大丈夫?」

百香が椅子を直しついでに顔を覗き込んでくる。

咄嗟に顔を逸らしたけれど、堪えきれなかった…

「蒼くんっ!!、」

泣いたまま、呼吸がうまくできないまま私は声を張り上げた。

ヒューヒューと喉が鳴る。

涙が止まってくれない。


蒼君はクラスメイトと話したいたけれど、私の声にため息をついてこちらを見つめた。


自分が呼吸を整えていると蒼君は待たずに「何?」とだけ言った。


眉間にシワがよるのがわかる。


「ちょ、蒼もその態度やめなよ…よくないってそういうの」

百香は私たちの間に立ち蒼くんをなだめる。


「あーはいはい、ごめんって」

「だからっ、そういう態度のこと言ってんの」

百香の額に汗が伝う。

「は?俺元からこういう人だから。嫌だったら関わらないでくれる?」

「っ、屁理屈!!そんなの知らないっうの。なんだっていいから夏乃に謝れよ」





うるさい、

うるさい、


うるさい、





「いい加減にしてっ!!!!」


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