第23話

帰って、
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2022/02/17 07:44
保健室のドアが閉まる音。

蒼君が歩いて近づいてくる音。

そして、


ベッドの横に立ち、ゆっくりとカーテンを開ける音。


「夏乃、」


両手を目に当てたまま泣いているのが見えないよう、顔を背ける。


蒼君が近くの椅子に腰をかけたのがわかった。

ギシッとパイプ椅子の音が聞こえた。



「夏乃、大丈夫?さっき急に倒れて…」

「知ってる」

「…」




蒼君が黙ると妙な空気が漂った。ただそれが耐え難くて、私は蒼君に聞くまでもないことを聞いた。

「蒼君さ、私のこと嫌いでしょ?」

「え…」

「こんなの聞くまでもないか、フッなにやってんだろ私」

「蒼君が嫌いなのはわかってる。だからといって私が蒼くんのこと嫌いなわけじゃないよ?」

蒼君はなにも言わない。

それを確かめて、私は一度深呼吸をする。

「なんで、ここにきたの?」

「……」



疑問だった。私が倒れる瞬間から、現在にかけて。大嫌いな私になんで構うのか。

ほっとけばいいじゃん。保健室の先生に全部任せれば?なにしにきたの?またダサいとか気持ち悪いとかいうの?


「帰って…帰って、帰って、帰って」

「……」







「別に、嫌いじゃないけど…嫌いじゃないけど。帰って欲しいなら帰るよ。」

そういうと蒼君は立ち上がり、足早に教室へ戻った。


両手を目から離すと、不意に涙が溢れた。

「うっ、うぅ…」


罪悪感でいっぱいだった。


ごめん、ごめん、ごめん…

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