ボノニside
あなたが来てから、僕たちの宿舎はより一層うるさくなった。
僕は困ってるだろうって?
全然。むしろ嬉しい。
新人賞、音楽番組で初一位。
あなたが来る前、一気に仕事が増えた。
こういうのを"売れた"っていうんだろうな。
だけど、僕たちはなんとなく疲れてた。
元々喧嘩は多かったけど、みんなストレスが溜まってたみたい。
笑い声よりも、喧嘩してる声の方が多かった。
僕が喧嘩好きじゃないの知ってるでしょ?
でも、僕も無性にイライラすることが増えた。
すぐ仲直りできてたし、仲が悪くなったわけじゃなかったんだけど、いい気分じゃなかった。
あんなに憧れてて、楽しかったステージも、いつの間にか仕事の意識が強くなってたんだ。
それを全部無くしてくれたのがあなただった。
がむしゃらに練習をして、俺らのステージをいつもキラキラした目で見て、
ヒョンたちは私の憧れだから。って言ってくれて。
忘れてきたものを取り戻してくれた。
目に見える形で守るべきものができるって、こんなに人を強くできるんだね。
最近は、素を出せるようになったみたいだ。
あなたの笑顔が増えるとヒョンたちの調子も良くなる。
仮期間なんて早く終わればいいのに。
それにしても、あの紙の束なんだろう
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!