物事はいつも唐突だと思う。
だって、今回も唐突でしょ?
✩・✩✩・✩・✩・✩・✩1年前✩・✩・✩・✩・✩✩・✩
今日は高校の入学式。
私たちはクラス分けをされた紙の前にいる。
隣にいる楼莉は友達。すっごく可愛いけどぶりっ子という弱点がある。
でた、上目遣い!まあ、可愛いいから注意することもないんだけど。
首をコテンっと傾けながら言う楼莉に呆れながら私は教室へと向かった。
✩・✩・✩・✩・✩・✩・教室✩・✩・✩・✩・✩✩・✩・
ふわぁー。
思わずあくびが出てしまうほど退屈。どうして先生の話は長いんだろう。
私の席は窓際の前から4番目となった。1列5席あるから後ろの方だ。前と後ろは男の子。隣は女の子となった。楼莉はドア側の1番後ろにいる。
外からは暖かい日差しが私に差し込み、ちょうど良い体温を作ってくれている。風が気持ちいい。
どうやら寝てたらしい。
恭太の呆れ具合から見て、何回か私を起こしてくれていたようだ。
私を起こしてくれたのは恭太という男の子だ。恭太は中学年の時の仲がいい同級生。
どうやら私の後ろの席にいたらしい。
私は軽く伸びをすると帰り支度を始めた。
と、隣の女子が友達と何やらコショコショ話をし始めた。
女の子達の視線を追うと、そこには男子に囲まれた楼莉の姿があった。
早速男子の目を集めている。
帰り支度が終わり、鞄を担ぐとドアへと急ぐ。
隣にいた女の子達の前を通る時に一言だけ言い、私は女の子の反応を待たずに教室を出た。
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!