本作品、少々R表現が含まれます。
苦手な方は、ご注意ください。
無造作に開かれたまま、床に落ちているアルバム。
「だめッ…」そんな風に言っても、聞く耳を持たない彼は、私の腕を押えながら何度も最奥突いた。
その度に私は、言葉とは裏腹に甘く熱の篭った声を零し
吐息を漏らしては、体を何度も痙攣させた。
頭の中が白く染まり、最早何も考えられなくなる頃には
机に置かれた2人分のお酒は、もう温くなっていた。
思い出が詰まったアルバムと机に置かれたお酒。
これが、この状況を作り出した全ての元凶だった。
夕食を済ませ、ソファーで寛ぐ彼の元に駆け寄り隣に座る。すると彼は「どうかしたのかい?」と優しい笑みを浮かべた。
彼の様子を伺うように顔を覗き込めば、リーマスは「あぁ、構わないよ」と私のおでこにキスをしてから、お酒を取りに席を立った。
そう言ったリーマスは、杖を取り出すと相変わらず器用に魔法を使い、2人分のグラスを手を使わずにテーブルへと置き、ワインを持って私の隣へと腰を下ろした。
ワインを注ぎながら不思議そうに首を傾げるリーマスに対し、私は少しの悪戯な笑みを浮かべ「たまにはいいと思わない?」と"昔のアルバム"を彼の前に差し出した。
リーマスは私からアルバムを受け取ると「懐かしい…」と小さく言葉を零しながら、少しばかり子供っぽい笑みを浮かべてそのアルバムを眺めた。
普段大人っぽく落ち着いた彼が見せる、少々子供っぽい一面に、私は思わず笑みを浮かべた。すると、リーマスは照れ隠しをするように小さく咳払いをしてから、私の方をチラリと見て、直ぐにアルバムを開いた。
私とリーマスは、ホグワーツ時代 同じグリフィンドール寮の生徒であり同級生だった。そのせいか、必然的に私もよくジェームズ達と話す機会があり、アルバムにも彼らやリリーとの思い出が沢山詰まっていた。
ジェームズ達が起こした校内での手の負えな悪戯やリリーに必死にアピールしに行くジェームズの姿。女子生徒から熱い視線を向けられるシリウスとその横にいるピーター。甘い物に目が無いリーマスとそんな彼にお菓子をあげている私。
選手であるジェームズではなく、その試合を応援している私達を撮っている写真もあった。
勿論、リーマスと私が担った監督生として働いている時の写真だって貼られていた。
私達が学生だったのは、もう20年以上前の話。
そのせいか、写真を見るまで忘れてしまっていた思い出も多く、当初想像していたよりも、思い出話はお酒の肴となり、盛り上がりを見せた。
そのせいか、私はいつも以上に"お酒が進んでいた"。
私とリーマスが交際にまで発展したのは、ホグワーツを卒業してから随分経っての事だった。学生時代には、恋愛の"れの字"に発展することも無く、ただ普通に良き友人として過ごしていた。
あの頃はまだ、リーマスへの恋愛感情は無かったのだ。
リーマスはほんの残し熱っぽい視線を私に向け、私の頬を優しく撫でてから、柔らかく笑って見せた。
彼の暖かな手が、私の頭の中を更にぼーっとさせる。
そこまで言葉を並べ、私はハッとした。
まずい、酔いすぎた。
お酒でふわついていた頭の中は鮮明になり、酔いが一気に覚めていくのが分かる。しかし、それを自覚した時には、私は既に…彼にソファーへと押し倒されていた。
ドサッ…と音を立てて、アルバムが床へと落ちる。
私が説明する間もなく、リーマスは私の手首を強く押え
喋らせまいとする様に、唇を重ねた。
息継ぎをする事も許されぬ程、彼は何度も角度を変え
その度に、私の舌に自身の舌を熱く激しく絡ませた。
腕を押えられ、まともに身動きを取れない私は、苦しいと彼の胸を叩く事さえも許されず、ただ身を捩らせ、甘い声を漏らすことしか出来なくなっていた。
今回は、私の不注意だった。お酒のせいでこんなにも判断力が鈍ってしまうなんて…
いつもなら、こんな事を彼の前では口にしない。
ハンサムだと言って褒めるなんて、以ての外だ。
だって彼は、凄く嫉妬深いのだから…
私の言葉が彼の耳に届いているかなど分からない、ただ彼は空いている手で、私の髪を撫で、頬を撫でた後、私の首元に顔を埋め、そのまま私の首に噛み付いた。
ピリッと弱くも鋭い痛みが走る。
いつもの大人しく優しい彼からは想像出来ないようなその行為に、私は「んッ…」と小さく声を漏らし、僅かに体を跳ねさせた。
こうなると、殆ど彼は歯止めが効かなくなる。
先程まで、私の頬に添えられていた彼の手は、気がつけば徐々に服の中へと侵入し私の下着に手をかけていた。
彼の大きく暖かな手が私の胸に触れ、こんな状況であるにも関わらず、ドクッと心臓が音を立てて揺れる。
そう言った彼は、再び私の首元に顔を埋めると、今度は首筋に吸い付き、恐らくくっきりと残るような跡を付けた。「ちょっと…」と言いながら、私はそうされている間も甘い声を漏らした。
彼は、やはり私の声など聞こえていないかのように、再びキスを重ね、私の口を塞いだ。部屋の中に卑猥なリップ音が響き、私達を繋ぐ透明な糸を引きながら口を離した時には、私もリーマスの息もすっかり上がっていた。
見つめ合い、キスをする。その繰り返し。
そしてその間に、私の服はどんどんとはだけていく。
きっと彼はまた、"これ"が終われば「すまなかった…あなた…」と悲しげな顔で謝ってくる。
だけど、そんな必要は無いのだ。
だって私もまた、嫉妬に狂うこんな彼を愛してるから。
どんな彼でも、私は愛していられる自信があるから。
『嫉妬させてしまった…』頭の中でそう考えていても、心のどこかで彼の嫉妬心を嬉しがっている私も、きっとどこか狂っているのだろう。
熱と吐息が混じった2人の声が、部屋の中に木霊した。
✄-------------------‐✄
今回は、大人同士の恋愛を描かせて頂きました⋆⸜❤︎⸝⋆
学生のあなたちゃんと親世代の恋愛も好きなのですが、やはり親世代とのお話は、同年齢のものが書きやすいですね😌
本当は、セブルスかリーマスのドS系をリクエストされていたのですが、私の技量では盛大なキャラ崩壊をしてしまいそうでしたので、今回はリーマスのちょっと激しめの嫉妬でご容赦ください🙇♀️
リクエスト、ありがとうございました🕊🤍
【お気に入り🌟】1,500人突破致しました!🎉
皆様いつも応援ありがとうございます!!🥰
1,500人もの方に読んで頂けていると思うと、恐れ多いですが、これからも楽しんで頂けるようなお話の投稿をしていきますので、応援のほどよろしくお願い致します✨
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。
登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。