両手を広げる彼の胸に飛び込めば、またいつも通り…優しく包み込むようなハグをされる。
そして、私の胸は高鳴りながらも締め付けられる。
そう、いつもと変わらず…
と、思っていたのに……
彼からのハグは、いつもとは違うものだった。
私の背中に添えられた彼の手は、いつもよりも力強く、どこか熱を帯びているようで…
私の胸はいつも以上に鼓動が早まった。
動揺し少し震える声で、彼を呼ぶと…彼は自分の行動に驚いたかのように、パッと私から手を離した。
私は咄嗟に彼から1歩離れ、赤い顔が見られぬよう
少しばかり俯いた。
シリウスは、一瞬私と目が合ったかと思えば
みんなを見渡しながら、そう言った。
私の胸がチクリと痛む。
ギュッと締め付ける心を誤魔化すように、私は大きな声を出し、彼へと背を向けた。
そして、荷物を適当に置き、ジニーの持っていた飾りを受け取り何事も無かったかのように、みんなの手伝いを始めた。
彼の1つ1つの行動に期待してしまう自分がいる。
彼が何とも思っていないことなんて、分かりきっていることなのに…。
この、服も…この髪も……何か言ってくれるかなと、微かに期待していた。
さっきの、いつもと違うハグだって…
なにか意味があったんじゃないかって、、、。
だけど、何ともなさそうな彼の反応に私はいちいち勝手に傷ついてしまうのだ。
心配そうに私を見つめるハーマイオニーは、小声で私に向かってそう言い、それに対し横にいたジニーも何度か頷いてくれた。
励ましてくれた2人に笑顔を向け、私は小さく頷いた。
頑張ろう。少しでも…私を意識して貰えるように……。
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このお話、長いですよね…すみません💦
ちょっと、流れを長めに考え過ぎてて長編チックになってきました…😓
次で一気に進めたいと思います(多分)
長くなりそうですが、お付き合い下さい!!
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。