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第23話

バレてたまるか!!
2,922
2021/09/03 11:29
あなた

……疑われてないかなぁ。

 電車に揺られながら、数十分前を思い返した。
それは私が物に釣られた日の一週間後の控え室での会話だ。
ななもり。
ななもり。
あ、そうそう。8/15って空いてる?
Loki
Loki
え?なんで?
ななもり。
ななもり。
ほら、前話してたリスナーの子に俺達のことと聞きに行くんだ。あと映画も見に行くよ。
はい、存じております……。
Loki
Loki
(メイクとか言葉遣いとか大変なことになっておりますよ)
Loki
Loki
(いや、でもほんとどうしよ。)
ななもり。
ななもり。
ロキくん!
なーくんの顔がドアップで現れる。
ななもり。
ななもり。
どうしたの?突然一人でぶつぶつ言い出して。
Loki
Loki
あ、いやええっと~
Loki
Loki
その日、親戚の結婚式かあってね!!行かないと駄目なんだ!!
莉犬
莉犬
えぇ~、ロキくん行けないの?
 どこからともなく現れた莉犬くんはブーイングをし始める。
Loki
Loki
うん。ごめん。また他の日にどっか行こ?
莉犬
莉犬
わかったぁ~。
大丈夫。一緒に行くから……内心でそう思いながら改めて大変なことになったと思った。

そして、当日の数時間前……朝六時、ゆりちゃんの家でメイクはをしてもらった。
ゆり
ゆり
本当に別人にしていいのね?
あなた

うん。お願いしますッ!

その時、ゆりちゃんの目が輝いた気がした。その後はもう、しっかりとは覚えていない。3時間後、メイク、服、小物、香水、靴。全て三日の間に私が買わないようなものを買ってもらった。

でもよく考えると、前のような派手髪や目の色は印象に残りやすいかもしれないと思い無難な黒に変更。
ゆり
ゆり
ふぅ、これでいいわ。はい、これ。
そう言って渡された鏡で自分の姿を見た私は驚愕した。
あなた

だ、誰、これ!?

ゆり
ゆり
貴女よw
そこには美少女と呼んでも良い少女が写っていたのだった。
あなた

メイクって、メイクって!すごい!!

ゆり
ゆり
そうでしょう?まぁ、バレないように頑張ってきなさい。
ゆりちゃんは私の肩にポンッと手を置いた。ゆりちゃんには感謝してもしたりない。
あなた

ありがとう!頑張ってくる!

ゆり
ゆり
ええ、行ってらっしゃい。
「次は~、出雲目~、出雲目~。」
降りる駅の放送で、私の意識が戻ってきた。

私はこの仕事のお陰でたくさんのことが変わった。
姉さんを入院させることができた。
楽しい生活をおくることができた。
バレたら前の生活に逆戻り。
みんなとも接点がなくなるだろう。
あなた

(みんなと会えなくなるなんて嫌だ。。)

私は自分がそう思ったことに驚き、小さく微笑んだ。
あなた

(いつのまにかみんなのこと大切に思えるようになったんだ。)

大切に思える人が増えた今、絶対に
あなた

絶対にバレるもんか

私はニヤリと笑みを浮かべて、歩きだした。

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