ヒロト「アイリ 見るな」
アイリの体を反転させ、顔を覆い隠す様に抱きしめた
華奢な肩が、小刻みに震えている
ヒロト「とりあえず、移動しよう」
アイリを抱きしめたまま、駅の階段下、自販機の裏側に、身を隠した
ヒロト「大丈夫か」
アイリ「うん 少し落ち着いた」
くそ‼ 今日一日 あんなに楽しかったのに、
アイリも、ずっと笑顔だったのに、
夏休みの、まだ午後3時過ぎだ。人も少ない駅のホームで、幽霊を見るなんて、
駅のホーム❗
僕は、あることを、思い出し、スマホで、検索した
あった‼ この事故の記事だ
ヒロト「これだ。3日前の金曜の夜、男性が、この駅のホームから、転落 最終電車と接触 即死だった
男性の名前は、戸川 照之 28才 一流大学を卒業し、一流の会社に務めている
明るく、社交的で、仕事も順調 婚約者もいて、来春には、結婚する予定だった。
遺書らしいものも、無く 自殺の可能性は、薄いが、事件 事故 どちらとも、断定できない
この人の、ことかな⁉」
アイリ「自殺の可能性は、薄い。、、、はぁ‼」
アイリが固まる。その視線の先を振り向き見る
何も見えない
ヒロト「見つかったんだな」
アイリ「うん、こっちを見てる」
ヒロト「おい、誰に、なんの恨みがあるか、知らないが、僕の妹に取り憑くのは、やめろ」
アイリ「違う。兄様、この人は、私に取り憑こうとしているんじゃない。自分の姿が見える、私に、なにか、訴えたいんだ 助けてほしいだ」
訴える⁉ 助けてほしい⁉
僕は、覚悟を決めた
自販機で、水のペットボトルを買う
一口飲んで、気持ちを落ち着かせ、水を手にかけた
アイリ「兄様、それは、止めといたほうが、、、、ミャアとは、違う」
ミャア~😸
ヒロト「いいんだ。さあ、アイリ」
アイリ「わかった。兄様、手を握って」
僕は、アイリの手を、そっと握った
アイリ「私の、眼を見て‼」
僕は、その瞬間、金縛りにあった様に動けなくなった
アイリの眼を、吸い込まれる様に見つめた
アイリ「私の見てる方向を、一緒に見て、、」
アイリが、視線を、ゆっくり、横にスライドさせて行く
僕は、アイリの眼を追って行く まるで、催眠術にかかっているかの様に、
アイリの視線の先には、、、
見えるんデス
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。