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第1話

Prologue
646
2022/06/20 12:06
みのり
「今日の配信はっ–––」
あなた


配信を切りたくなったけれど、後ろの遥を見て、心を落ち着かせる。


……何で、国民的アイドルの中にただの素人のあんたがいるの?




あなた
……


遥は……。

遥は、そんな一般人に手の届かない存在じゃないの?


何で、あんたなんかが…。



あなた
……大っ嫌い





楽しそうな笑い声から目を背けるかのように、アプリを閉じる。

……次の配信は、遥がメインでありますように。





あなた
(今日も…嫌なことばっかり)
あなた
(…今日はみのりの配信…か。見るだけ見ようかな、遥が出るかもしれないし)
みのり
「わたしがアイドルになろうと思ったのは、遥ちゃんがいたからです!」
みのり
「嫌〜なことばっかりで…でも、画面の向こうの遥ちゃんが励ましてくれて!」
あなた
…!
みのり
「だからわたしはきっと明日はいい日になる、って希望を、遥ちゃんみたいにみんなに届けたいんだーっ!」


輝くような笑顔。

混じり気のない、笑顔。



後ろで雫や愛莉、遥も笑ってる。


あなた
みのり…か


「今日がいい日じゃなくても、明日はいい日になるかもしれないって思えるように」。


配信が終わって、暗くなったスマホの画面をなぞる。



きっと、みのりに希望を与えたのは、遥のその言葉。

私に希望を与えたのも、その言葉。





何故だか、先ほどまで大嫌いだったみのりに、小さな親近感を覚えていた。















––––––そして。

みのり
わわっ、すみませんっ…! お怪我ないですか!?
あなた
っ…みのりちゃん、ですか!?
みのり
はぇっ!? は、はい! 花里みのりです!
あなた
–––––––––ファンです…!








いつの間にやら、限界オタクになっていました。

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