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「蝶野君!ああ、今日は早番だったっけ?」
「はいっす!♪…ん?かおりさん、そちらの男は?」
バイトが入っていたのを思い出した私と不審そうに問う蝶野君。
「あ、ああ…こちらは…」
名前を知らない為、なんて紹介して良いか分からなかった私は、チラリと男に視線を向ける。
すると、男は何も言わずに、蝶野君の前に立って。
「俺はソウだ。お前がココのバイトとやらか?」
初めて男の名前を知った。
(ソウって言うんだ…)
私がふ〜んとか思ってる横で話はどんどんと進んでいく。
「そ、そーっすけど…アンタ、ここに何の用っすか?お客さん…では、無さそうっすけど…」
「お前、いいか?カオリを変な目で見るなよ?カオリ、あんまり免疫無さそうだし…必要以上に触れるのもNGだからな?」
なんて事を忠告されてキョトンとする蝶野君と、軽くため息を吐いた私。
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編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!