赤葦side
そう楽しそうに嬉しそうに俺に自慢してきたのは先週のことでそれを当日に忘れるってどういうことだよ。
俺の肩を激しく揺さぶりながら涙目の木兎さんは訴える。知らん。
結局、木兎さんの家に連れていかれ準備を手伝わされた。部屋を飾り付けて、ケーキを作るらしい。ケーキつくんの?笑
アホなのだろうか。
たしかに。木兎さんよりはセンスがある気がする。
外に出て、近くにあるアクセサリーショップに向かう。男2人でアクセサリーショップは変な目で見られることしかない。外で待ってようかな。
この人はほんとに先輩なんだろうか
1時間くらい迷って店員さんに聞いて、お勧めを見せてもらって、結局決めきれなくてどっちも買ったらしい。金持ちか。
自分の家に帰って、そういえばさっき白福たちお祭りの話ししてたなーと思い出して、スマホを手に取る。誘うか。誘わないか。
迷って迷って、結局電話をかけた。
プルルルルル…ガチャ
通話が切れて、画面に通話中の文字が出る。タイミング悪かったかな。後で掛け直そう。
夜ご飯を食べて、風呂に入って、もう一度掛け直す。
さっきと同じ、通話中の文字が出る。
今日は諦めるか。とスマホをベットに投げ捨てた瞬間画面が明るくなる。
期待して拾い上げた液晶画面には白福の文字
後に引けなくなった。さっきまで迷ってたけど腹が決まった感じ。
ガチャッ
トーク画面を開く。
不在着信
…え?
2分前に不在着信。まじか。ほんとにタイミング悪い。その下には短いメッセージ
「通話中にごめん、明日部活終わりに時間ある?」
「うん、俺も話したいことある」
画面を閉じて、なんなら声聞きたかったとか思ったけど我慢した。明日2人でどっかいけるかも。…あ、雀田先輩の誕生日か。パーティーだからどっか行くのは無理かなー。とか考えながら眠りについた。
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!