第11話

夏①
564
2019/04/03 06:51
インターハイでは結果がふるわず、テストもまあ、赤葦くんには負けたけどまずまずの結果で夏休みに突入した。1週間後にはまた夏合宿が控えている。インターハイで負けてからみんなの士気が高まっているのをひしひしと感じる。特に木兎さんは苦手なストレートを克服してきているよう。
木葉秋紀
木葉秋紀
マネージャーボトル空になったー!
如月 律
如月 律
今行きます!
ドリンクがなくなるペースも前よりずっと早くなってみんなの気合を象徴している
練習終わりの自主練もいつもより長く、最近はわたしもボール出しを手伝っている。
木兎光太郎
木兎光太郎
へいへいへーい!赤葦いいトス頼むぞー!
赤葦京治
赤葦京治
木兎さん!
如月 律
如月 律
ナイスキー!!
雀田かおり
雀田かおり
そろそろ上がってね!
如月 律
如月 律
はーい!
木兎光太郎
木兎光太郎
あと一本!
赤葦京治
赤葦京治
それもう5回目です片付けますよ
木兎光太郎
木兎光太郎
あかーしーーー!
赤葦京治
赤葦京治
うるさいです
今回の合宿は1週間にわたり森然高校で行われる。前回の合宿よりも長く、気温が高いので体調面には気をつけなくてはいけない。
バスに乗り込み出発して数十分でほとんどの人が眠りについた。私は監督に頼まれていた前回の合宿のデータとインターハイのデータをまとめていたので寝る暇はなかった。ねむいよー。
到着のちょっと前に監督にノートを提出してやっとゆっくりできると思ったらついた。
控え室に荷物を置いてドリンクを作る。今回は私は梟谷の方のマネージャーだから、、、だからなんだ。笑
赤葦京治
赤葦京治
如月ータオル取って
仲直りしたあの日から如月呼びが定着した赤葦くんだけど私はまだ全然慣れない。からあんまり呼んでない。うーーん。
如月 律
如月 律
はい
如月 律
如月 律
お疲れ様大丈夫?
赤葦京治
赤葦京治
平気
如月 律
如月 律
頑張って!
赤葦京治
赤葦京治
うん
あっという間に1日が終わり自主練の時間。第3体育館も少し賑やかになって、3対3をやっているこれを眺める時間が私はすごく好きだ。
灰羽リエーフ
灰羽リエーフ
ずっと思ってたんですけど、あのめちゃくちゃ可愛い子梟谷のマネさんですか?
黒尾鉄朗
黒尾鉄朗
リエーフお前夜久のとこでレシーブ練やってたんじゃねーのか?
灰羽リエーフ
灰羽リエーフ
出来が良かったんで見逃してもらいました!
木兎光太郎
木兎光太郎
あれ?さっき夜久お前のこと探してたぞ?
黒尾鉄朗
黒尾鉄朗
灰羽リエーフ
灰羽リエーフ
いいじゃないですか!3対3できるんですから!
黒尾鉄朗
黒尾鉄朗
夜久がくるまでだからな
灰羽リエーフ
灰羽リエーフ
ところで!あの子!
如月 律
如月 律
梟谷2年の如月律です
灰羽リエーフ
灰羽リエーフ
先輩!律先輩!
如月 律
如月 律
リエーフくん背高いなぁ
灰羽リエーフ
灰羽リエーフ
リエーフでいーですよりつせんぱいっ!
腰を屈めて目線を合わせてかわいーって言ってくれるリエーフがすごく可愛かった。
灰羽リエーフ
灰羽リエーフ
律先輩彼氏いますか…痛っ!
黒尾鉄朗
黒尾鉄朗
お前いつまで喋ってんだよ。ほらやるぞ
灰羽リエーフ
灰羽リエーフ
律先輩後でお話ししましょうね!
ズルズル引きずられていくリエーフに手を振りながら食堂へ向かおうとすると、ぐいっと引っ張られた。
如月 律
如月 律
リエー…フ?じゃないごめん
赤葦京治
赤葦京治
リエーフじゃない
ふくれた。かわいいなこの野郎。
如月 律
如月 律
どーしたの?
赤葦京治
赤葦京治
風呂上がった後時間ある?
如月 律
如月 律
多分大丈夫。9時ごろになるけどいい?
赤葦京治
赤葦京治
うん。部屋に迎えにいくから待ってて
如月 律
如月 律
?わかったよ
木兎光太郎
木兎光太郎
あかーし!やるぞ!!
赤葦京治
赤葦京治
今行きます!
じゃあ、と手を振って駆けて行った背中を見ながらなんだか心臓がどこどこしてきた。なんだこりゃ。病気か。
ほわほわした気分で風呂に入って溺れそうになって雪ちゃんとすずちゃん先輩に助けてもらいながら、いつものように頭は乾かさずフルーツオレを発見したのでそれを買って部屋に戻ると赤葦くんが来るまであと20分ほどあった。
白福雪絵
白福雪絵
なんでまた服着てるの〜?
如月 律
如月 律
赤葦くんに呼ばれたの
雀田かおり
雀田かおり
!!
白福雪絵
白福雪絵
やるなぁ〜
如月 律
如月 律
???
雀田かおり
雀田かおり
告白?!
告白?こくはく、こく…はく???!
如月 律
如月 律
いやいやいやいやそんなわけないじゃないですか!!!
白福雪絵
白福雪絵
ええ〜?楽しみ〜
如月 律
如月 律
そんなわけないって!
ぎゃーぎゃーと騒ぎながら行く準備を進めているとパシッと手を掴まれた
白福雪絵
白福雪絵
ちょ〜っと待った〜
嫌な予感
雀田かおり
雀田かおり
りょーかい!
ウキウキ気分の2人に鏡の前に座らされた。
如月 律
如月 律
ちょっとちょっと!何してるの!!
白福雪絵
白福雪絵
髪しばろうかなぁ〜って
如月 律
如月 律
風呂上がり!あとついちゃうよ!
白福雪絵
白福雪絵
気にすんな〜
全然解放してくれる気がなさそうなので諦めて大人しくする。たしかにちょっと邪魔かもしれない。ドリンク洗う時とか水につくんだよなぁ明日からしばってこうかな
雀田かおり
雀田かおり
できた!
そこには見事にポニーテールになった私がいた。おおおすっきり
如月 律
如月 律
すっきりした〜明日からもやって??
白福雪絵
白福雪絵
それは〜赤葦次第かなぁ
如月 律
如月 律
え?なんで??
コンコンコンっとノックの音がした。時計を見るとちょうど9時だった
如月 律
如月 律
じゃあいってくる!
ガチャっと勢いよくドアを開けたせいで前のめりになってぶつかった。いだっ。
如月 律
如月 律
っっっとごめん!
赤葦京治
赤葦京治
大丈夫?
如月 律
如月 律
大丈夫!
えへへっと顔を上げると赤葦くんは目を見開いて逸らした。でもこれはきっと照れている。そのくらいはわかる。
如月 律
如月 律
て、照れてる?
赤葦京治
赤葦京治
うるさいっ。行くよ
すねた。すね葦くん。自分で心の中で笑ってしまった。これはシリーズ化できるような気がする。
体育館に向かう渡り廊下を歩いて、昼間ペナルティーをやっていた小高い丘にでる。もしかして赤葦くんはペナルティーがやりたいの?M葦くん?
赤葦京治
赤葦京治
ここ、登ったら星がめっちゃ綺麗に見える
如月 律
如月 律
そーゆーことか!
心の声の答えが出てちぐはぐになった返答に?を浮かべながら振り向いた赤葦くんは月夜に照らされてとても綺麗だった。なんかめちゃくちゃいい風なこと言ったな私。
坂を登ってる途中にこけて転びそうになったのを赤葦くんが助けてくれて、そのまま手を差し出された。
如月 律
如月 律
…いいの?
赤葦京治
赤葦京治
手を取って歩き出して、その時急に自分の心臓の音が聞こえたドキドキドキドキ。あれ?なにこれ。うるさい自分の心臓。
赤葦京治
赤葦京治
ほら、上見てみな
如月 律
如月 律
うわぁ!!すごい綺麗!
如月 律
如月 律
東京でもこんな綺麗にみえるところあったんだね!
すごすぎて、無意識のうちに手をブンブン振っていた。恥ずかしい。
赤葦京治
赤葦京治
ここ埼玉だけどね
手を繋いだまましばらく上を見上げていたけど、手を繋いでいるってことを意識したら冷静に星が見れなくなって恥ずかしくて、手を離してしまった。
如月 律
如月 律
あの、なんで誘ってくれたのかなーって
気まずい。離したら離したで気まずい。けど、なんか心臓がもたないような気がして。
赤葦京治
赤葦京治
去年、1人で抜け出した時に見つけて、今回如月に見せたいなーって思って
これ、理由になってますか?!なってるのかな。うんなってるよね。いや、なってる?!
如月 律
如月 律
なんで私…
プルルルルルプルルルルル
赤葦京治
赤葦京治
あ、ごめん…もしも…
木兎光太郎
木兎光太郎
あかーーし??!どこいるの?!
赤葦京治
赤葦京治
あれ、俺抜けるって言いましたよね
木兎光太郎
木兎光太郎
聞いてない!聞いてないよ!
赤葦京治
赤葦京治
いや、黒尾さんに伝えましたけど
木兎光太郎
木兎光太郎
黒尾?!いや、なんも言ってなかった!戻ってこいよ〜どこにいるんだよ〜
赤葦京治
赤葦京治
今戻りますから。待っててください
木兎光太郎
木兎光太郎
あ、あかーー…
ブチッ
赤葦京治
赤葦京治
戻ろうか
結局質問の答えは聞けないまま、丘を下りて部屋まで送ってもらった。帰りは手を繋ぐこともなく、ちょっと寂しいなーって思ったりしたけど、自分で離したくせにこの野郎と自分に喝をいれて部屋まで戻った
赤葦京治
赤葦京治
明日からも頑張ろうね
如月 律
如月 律
うん!赤葦くんも頑張ってね!
名前をいつも通り呼んだだけなのにむすっとされた。…?
赤葦京治
赤葦京治
ねー、呼び捨てがいい。
やばいかわいいかっこいい。呼び捨て…赤葦?それとも…京治?難易度が高いやめとこ。なんかまた緊張してきたぁぁぁ
如月 律
如月 律
あ、ああ赤葦明日からも頑張ってねっ
言い終わった瞬間にドアを開けて部屋に入った。やばいやばいやばい。心臓収まらない。静まれ自分の心臓ーーーー!
入れ違いで雪ちゃんが外に出て行った。でもそんなことを気にしている余裕はなくて、すずちゃん先輩に抱きついて、なんかもうとにかくやばかった。
カシャーカシャー
赤葦京治
赤葦京治
おい撮るな
白福雪絵
白福雪絵
え〜?赤面赤葦くんゲットです〜
赤葦京治
赤葦京治
まじやめろって
白福雪絵
白福雪絵
頑張ったねぇ〜
赤葦京治
赤葦京治
うるさい。寝ろ
雪ちゃんが戻ってきてニヤニヤしてるから赤葦くんとなんかあったのだろうかって思って胸がチクっとして、それもまた初めての感覚で戸惑った。

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