雪ちゃんと一緒に教室に入り席順を確認する。き〜しの間にまさかの誰もいないという奇跡。席前後だ!嬉しくて飛び跳ねて2人で席に着く。こんな幸せな新学期のスタートはない。
私の独り言を無視しておにぎりを食べ始めた雪ちゃんにつられて私もお腹がすいてきた。
差し出してきたのはカップケーキ
え、天使?
私も雪ちゃんもかなり食べる。1年の頃からずっと一緒にいてずっと食べてるから周りにはもはや女子としてみてもらえていない笑
そんなのは関係ないけどね!
そうこうしているうちに担任が入ってきて、自己紹介やら何やらが始まった。
すすむすすむ。自己紹介は進む。
きてしまったついにきてしまった。
私の番っっ!!!
その一言で教室が笑いに包まれる。ああ少し落ち着いた。サンキューただのクラスメイトよ。
今だけ感謝するぜ。なんて心の中でカッコつけながら自己紹介をする。
思ったよりもあっさりと自己紹介が終わって一安心。自己紹介なんてこんなもんだろっ。
雪ちゃんの自己紹介も終わって、あとはだらだらと聞き流す。さっき私を救ってくれたクラスメイトくんのも聞き流しちゃった…てへ。
始業式も終わって昼休み。
そう言ってお弁当を広げようとした時、隣でふっと笑う声が聞こえた。え、なんで?
え、え、?誰?木兎さんだれ?え、てかこの人だれ??
赤、あかあし??赤葦くん?
私は初対面の人に対してはすんごい人見知りなんだけど2、3言話せばすぐにいつものテンションに戻っちゃう。だからまあ嫌われることもあるんだけど、雪ちゃんはすぐに受け入れてくれて本当に大事な友達なんだぁ
私の突然の告白に呆れた様子の雪ちゃんと笑いが止まらない赤葦くん。なんかこっちまで照れてきた。今更。
そう言っておにぎりにかぶりついて、ふと思い出した。
へぇすごい人だ、これ絶対すごい人だよ
だだだだだっ
廊下から凄まじい勢いの足音が聞こえてきた。赤葦くんがすごい嫌そうな顔をする。
わざわざ会釈して、教室を出て行った赤葦くんと木兎さんを唖然としながら見送って雪ちゃんに視線を戻す
そそそんな、、。私ってあんなに落ち着きがないのか?!や、でもきっと私の方が頭はいいはず。うん。
脳内での会議を終えた私は脈絡に合わない返事をする。でも雪ちゃんはこの1年で私に慣れたのか何も言わずに返事をする。
昼休みの終わりを告げる悲しいチャイムがなって、廊下の喧騒が各教室に集約されていく。今日は始業式で午前授業だからこの後はロングホームルームしかない。おそらく係決め。授業開始数十秒前に教室に滑り込んできた赤葦くんはワイシャツの第1ボタンを開けてネクタイを少し緩めていた。って自分見過ぎ!
慌てて目をそらして、いやなした自分とツッコミを入れる。この後は何事もなく係を決めて私はやりたかった修学旅行の委員会に立候補した。のに…
小さい声で話してたつもりなのにしっかりとクラスのみんなに伝わっていたらしい。さっと目を伏せた。おい。
ショッッック。なぜだなぜなのだ。
首が一周する勢いで隣を見た。え、まじで?!
ロングホームルームが終わってから赤葦くんに声をかける
フォローになってないよ…赤葦くん…でもいっか!修学旅行まだまだだけど!
宣言してるんるんした気分でトイレに向かった
教室に戻った時に雪ちゃんと赤葦くんが仲よさそうだなぁっておもって自分の手でカメラを作って向けてたのは2人には内緒
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!