赤葦side
合宿1日目に頑張って誘ってみた。迎えに行った時の髪型、うなじ見えててもうほんとに可愛すぎた。おまけに風呂上がり。理性どっかいきそう。
さりげなく手を繋いで星を見て、すごいロマンチックだったんじゃないかと思うんだけど、木兎さんに邪魔された。許さない。結局何事もなく部屋まで送ってって、最後のわがままを聞いてもらった。最近また赤葦くんって呼ぶようになったから。
どんどん顔が赤くなって、
言い終わった瞬間に部屋に逃げ込んだ如月のポニーテールが揺れていて、ほんとにもうどうすればいいのかわからなくなった。顔から熱は抜けてってはくれない。
入れ違いで白福が出てきてシャッターを切る
片手で口を覆いながら目をそらす
保護者かよ。
白福が部屋に戻って俺はその場にしゃがみ込んだ。あの髪型でうろちょろされたら耐えられない。黒尾さんとかが騒ぐに決まってる。
部屋に戻ると黒尾さんが来ていてやっぱりニヤニヤしながら
と聞いてきたから
と濁したけど、明らかに長すぎたからバレてるだろうな。
別の意味で。ほんとに木兎さんタイミング悪い。
次の日の朝白福とすれ違うときにこそっと
って言われて今回ばかりは感謝した。ローポニテでも騒ぐ人はいたけども。
木兎さんに他意はないので放っておいた
6日目の夜は恒例の肝試しと花火がある。肝試しではペアが男女になるところもあるからとりあえず一緒になるなんて大それたことは願わないで如月と黒尾さんだけはなりませんようにとお願いした。
2番…
白福がチラッとこっちを見てきたからVサインで返す。あちゃーとした顔でこっちを見てきた。
如月は研磨と。まあ研磨なら大丈夫か。
1番目の日向と谷地さんがスタートしてギリギリに白福のところに行く。
ニヤニヤ顔の白福の隣を歩きながらスタートする。こういうのにビビるってことがほとんどない。白福も確かホラー好きだからどうってことない。
そんなこんなで、あれ?脅かし役いた?くらいのテンポでゴールすると谷地さんと日向がイチャイチャしていたので緩い目で見守っていた。
3番の木兎さんと黒尾さんが相変わらずギャーギャーいいながら到着して日向と谷地さんをいじっていた。4番もゴールして次は研磨たち…と思っていると叫び声とともにすごい勢いで2人が飛び出してきた。
…腕組んでる
すかさず日向と黒尾さんが茶化しにいって腕を組むのはやめたけどすぐに研磨が手を握った。え?
輪の中に入ってきて如月と目があったけど逸らしてしまった。あーまただ。
この場に居たくなくて逃げ出すように白福についていった。
白福が花火を半分俺に渡して
背中をバシッとたたいて横を抜けていった
白福がみんなを集めて花火を配る。当たり前のように白福の方に行った如月のパーカーのフードを引っ張った。もちろん首が締まらない程度に。
あ、強すぎた
さすがにパーカーを引っ張るのはやめたけど手首を掴んだ。逃げられたら困る。
人気のないところにきて改めて緊張してきた。自分で連れてきたくせに
慌てて手を離す。えーーと。
ちがうちがうちがう。こんなことが言いたいわけじゃない。
あーやべ。これは流石にだめだったかも。
嫉妬。ああこれは嫉妬だ。でも、なんか、ちょっと怒ってるよね如月も。
あーやっちゃった。なんで、こんなにうまくいかないんだろう。
誰に届くこともない悪態が空に吸い込まれていく。
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。