私が実初にチョコを見せると…
実初ちゃんって…本当の優等生だな…
あ、沙那ちゃんに作ったチョコ、どうしよう…
後でLINEで聞いてみるか。
真後ろに高瀬くんが来た。
あ、そうだった!実初ちゃんは高瀬くんのこと…!
高瀬くんが、少し不思議そうにしながら、歩いて行った。
どうしよう…変な誤解されちゃった…?
放課後、約束通り、チョコを交換した。
私が作ったのは、白いパウダーのかかった、フォンダンショコラ。
実初ちゃんのは、トリュフチョコと、チョコペンでデコったクッキー。
そのデコレーションの技術から、相当器用だということが分かる。
あれ…実初ちゃん元気ない?
そう気づいた時には、実初ちゃんは遠くまで歩いて行っていた。
沙那ちゃん…LINEを送っても既読つかなかったけど、お見舞いを兼ねて、行こうかな…
ピンポーン。
少し待つと、女の人の声が聞こえた。
『はーい』
『あ~、ちょっと待ってくださいね~』
しばらくして、ドアが開いた。
茉那さんは、そう行って、自分の部屋に戻って行った。
私が静かに部屋に入ると、沙那ちゃんが起きた。
私は、沙那ちゃんにチョコを渡した。
手を振って、部屋を出た。
沙那ちゃんのお姉さん…めっちゃ優しかったな…
私は、胸に少しワクワクを抱いた。
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!